いつかのあの日2

16.atsuto ページ18

atsuto side.

日本語で名前を呼ばれてファンの子かと思ったけど振り返るとAさんで安心した。



A「…ファンの子かと思った？(笑)」
よっぽど俺がびっくりしてたのがおかしかったのか笑っているAさん
たまたま…なわけないよな。

「…なんで？」

A「んー、シャルケに行ったら篤人くんの車がまだあってスタッフの人に聞いたらもう帰ったって言われたからなんとなくここに来たら篤人くんが居たの！」
そう言いながら俺の横に座っていいか聞かれたので少し横にずれてスペースを開けた


A「ここね、私のお気に入りの場所なんだー。
篤人くんも良く来るの？もしかしてもっと前に会ってたかもね(笑)」

そう言いながら笑いかけられてAさんをどうしようもなく抱きしめたくなった
A「…篤人くん？」

怪我で多分精神的に弱くなってたんだと思う。
かっこ悪いところを見せたくなくて会いに行けなかったのに会ったらこんなにも落ち着くなんて矛盾してるな俺。

「…会ってるんだよ？」

A「え？」

「…俺ね、悩むとここに来る。
で、前に来た時にこのベンチに座ってる女の人が居て。」

A「…。」

「その時はファンかと思ったんだけど。」

A「うん。」

「その後、デュッセルで誰かさんが長谷部さんに捕まってて。
あ、公園の人だなって。
だからあの時は俺はAさんと初めましてじゃなかったの。」

A「…言ってくれればよかったのに。
そういえばゲルゼンだよね？って車の中で言われたね。」

「いや、だってその時Aさん…泣いてたからさ。
言わない方が良いかと思った。」

A「…あははー。
なんだ、篤人君には恥ずかしいところ見られてたんだね。」

そういうAさんは俺の方を見てなくて、言っちゃいけないこと言ったてのはすぐに分かった。








A「…私もね、ここに昔のこと思い出すと良く来るんだ。」

「…うん。」

A「なんかここって不思議だよね。
ここに来るとモヤモヤしてた気持ちがスカッとするの。」

「俺も。
俺さ…怪我して。
試合の時に着地失敗したっぽい。」

A「それで昨日も今日もご飯食べに来なかったんだね。」

「…まぁ。
それでちょっとブルーになってたわけ。
で、ここに来た」

今の俺めちゃくちゃかっこ悪いな。



けど、Aさんにはこんな俺でも大丈夫だよって言ってもらえる気がした。
俺、Aさんのこと好きだ。


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