いつかのあの日2

1.atsuto ページ2

atsuto side.

Aさんが誘拐されて少なくとも1週間はたつ
俺があのメモに気が付いたのが1週間前だからもしかしてそれ以上かも知れない


「Aさんのから揚げ食べたい…」

麻也「それ、俺がから揚げ作ってるのに言う？」

「…。」

Aさんは待っても待っても帰って来なくて窓のシャッターは下りたまま。
練習から帰って来て今日はさすがに帰って来たかなっていうのを何回繰り返したか
ちょっと誘拐長くない？
俺だって数時間しか誘拐してないのに…

「あ、誘拐だよ誘拐。
Aさん長谷部さんの所だ多分」


麻也「は？意味分かる様に説明して」

今思えば誘拐っていうあのやり取りは俺と長谷部さんとAさんしか分からないから使った可能性が高い気がする
いや、俺の考えすぎか…

「なんでもないー
多分気のせい。」

麻也「あー、でもその可能性高いかもね。」

「…なんで？」
麻也から出て来たその言葉に反応して起き上がると笑われた

「笑ってんな」

麻也「ごめんごめん(笑)
だってうっちーの反応が(笑)」

「で？」

麻也「いや、昨日永嗣さんから連絡あって、また欧州会しようって内容だったんだけどその時にAちゃんに会ったって言ってたから」

「…」

誘拐中に永嗣さんと会ったとなるとやっぱり長谷部さんの所か

麻也「でもあのメモに気が付いてから1週間くらいでしょ？
男女だよ、男女。
いい歳の男女が一つ屋根の下に一緒に居て何もないことはないでしょー

痛い痛い痛い！
ちょっとうっちーやめて！
から揚げやってるからね俺！」

「…言い方がムカついた(笑)」

別に幼馴染なら俺だって1週間一緒に居たって何にもならない自信がある


「…てか、なんでこんなにAさんが気になるんだ俺…」

麻也「…え？
何、好きなんじゃないの？」

「…わかんねー。」

もうね、わかんないよね
好きとか付き合うとかそういうの

「好きとか付き合うとかさ、良く分かんねー」

麻也「…これだから恋愛偏差値低い人間は。
最近うっちーの家来てるとAさんの名前よく聞くけどそれはなんで？
餌付けされてるから？」

「…餌付けはされてない。」

別にご飯だって食べたの3回だけだし

「…多分初めてAさんを公園で見た時にAさんが泣いてたから」


麻也「その話聞いてない…」

「だって聞かれてないし。」

麻也「あぁ言えばこう言う！
ま、ゆっくりでも良いと思うよ。
ただゆっくりし過ぎて長谷部さんに持ってかれないようにね」

「…。」


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