マルフォイ家物語・・・プロローグ編２ (ページ43)

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魔法薬学の授業２ページ43

「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ」
　そして出席を取り終わると、何か教授が語り始めた。
「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、それでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち上る湯気、人の血管をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力・・・諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。吾輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である―ただし、吾輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」
　どうやらよっぽど魔法薬学が好きらしい。私も闇魔法が大好きだからこそわかる。
　あの人もよっぽどだ。
『闇の魔術に対する防衛術』は肩透かし以前の問題だったが、どうやらこちらの授業は期待できそうだ。お父様の友人とはいえ私の秘密がばれないように、必要以上に親しくはできないが、先生に質問しにいくぐらいなら構わないだろう。
　そう期待を膨らませていると、
「ロングボトム！」
　突然の大声で、比較的近くの席にいたグリフィンドールの丸顔の男の子はが飛び上がっている。
　どうやら彼はロングボトムというらしい
「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか？」
　それ、一年生が習う魔法薬の材料なのだろうか？
　おそらくセシルがわかるかどうかの内容だろう。
　まあ、私は知っているが。
　視界の端に映るグレンジャーも知っているのか挙手をしている。
　ロングボトムは知らないらしい。
「ロングボトム、もう一つ聞こう。ベゾアール石を見付けて来いと言われたらどこを探すかね？」
　これはもうセシルは知らないだろう。
　まあ、私は知っているが。
　視界の端に映るグレンジャーも知っているのか挙手をしている。
　今回もロングボトムには分からないらしい。
「最後だポロングボトム、モンクスフードとウルフスベーンの違いは何だね？」
「わかりません……。ハーマイオニーがわかっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう？」
　これもセシルは知らないだろう。
　まあ、私は知っているが。
　視界の端に映るグレンジャーも知っているのか挙手をしている。
　ロングボトムはこれも分からないようだ。