入学準備１ ページ5
レイラ視点
別に初めてというわけでもないが、実は私はあまりダイアゴン横丁に行ったことがなかった。ただ ダイアゴン横丁には人混みがあるのでお体が余り丈夫な方ではないお母様に負担をかけたくなかったのと、そもそもダイアゴン横丁にある店にあまり興味がない。行きたい店があるとすれば書店ぐらいだ。
代わりに私はよくノクターン横丁で買い物をする。
ノクターン横丁は日光があまり入らない暗い通りであり、その暗さに比例して治安も悪くなっている場所である。しかし私はマルフォイ家の娘であるため、純血主義者の多いノクターン横丁で私に悪さをしようという人間はあまりいない。だが、治安が悪いことには変わりがない。そのため私が買い物をする時は、必ずお父様がついてきてくださっていた。
私がダイアゴン横丁に行くのは、ドラコに付き合って箒の店をのぞく時か、ダイアゴン横丁にある高級レストランに家族で食事をしに行く時くらいのものだ。
だが、今回買うのは私がいつも欲しがるようなものではなく、ホグワーツで使うような普・通・の・も・の・だ。ノクターン横丁ではなく、ダイアゴン横丁に行く必要がある。
お母様は人ごみをお嫌いなためすぐ帰れるようにということで、お母様とお父様が教科書や鍋などといった授業で使うような雑貨を、そして私は、私自身が絶対に必要となる制服のローブと杖をその間に買う手筈になっていた。勿論ドラコも一緒に出かける
人混みがお嫌いな上にあまりお体が丈夫な方ではないのだから、私としてはお母様には家で休んでいてほしかったのだが、
『ホグワーツに行く最初の年なのだから』とお母様がどうしてもとおっしゃったため、私も渋々納得した。
ダイアゴン横丁にいく当日先日買ってもらった黄色を基調とした裾に黒い薔薇のレースと胸元にリボンがついているワンピースを着ると、
「おまたせしました。」
移動用暖炉の前に顔を出した。、すでにお父様とドラコがそこで待っていた。
「ああ、レイラ非常にその服が似合っている。」
「はい、そうですね父上。姉上とてもきれいですよ。」
ドラコが父の真似をして紳士ぶる。たった八歳の彼にはまだ紳士の振る舞いというものを理解しきれてはいなかったが、純血貴族として父親に厳しくしこまれたためか、ある程度それらしく振舞うことができていた。
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作者名：尾崎紅葉 | 作成日時：2021年2月22日 9時
