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4【哀しみと愛】 ページ13

街を、江戸を歩いていた時のことだった。



「冰斗様…?」

「え…?」


名を呼ばれ振り返る。

そこに居たのは、艶やかな黒髪を風に遊ばせる少女だった。



「花山院様!」

「噫、矢っ張!やっと御逢い出来ましたわ!ずぅっと、探していたんですのよ?」

「申し訳ないです。でも、僕もずっと会いたかった…!」



変わらない彼女に安心しつつ、周りに己の身分がバレないかずっとひやひやしていた。

しばらく茶屋で談笑に勤しみ、帰りを送っていた時。



「ッッッ!!!!!!」

「ど、如何しましたの?冰斗様…?」



(鬼の気配…!!)


ふと生暖かさを感じ、刀に手をかける。

鯉口を切った音に、彼女が怯えた。

少女が歩いてくる。

ゆったりと。確実に。



「早くしないと、食べちゃうよ?おにいちゃん…?」






急激に、憎しみが溢れた。

此奴はきっと、僕のことを知っている。

そう感じた瞬間、黒髪の彼女の血の匂いがした。


その後のことは、よく覚えていない。

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作者名: x他1人 | 作成日時:2020年11月4日 17時

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