続き ページ2
『だ、大丈夫だよ!はじめの手紙が重いわけでもないし、返事を出したくないって訳でもなかったんだよ。翼君』
「……でも…」
さっきまでの力はどこへ行ったのであろう、とても落ち込んでしまったはじめ
『…翼君、怖かったんだよ』
「…怖い?」
『もし、手紙書いてしまったら、はじめに会いたくなっちゃうって…辛いこととか苦しいことが書いてあったりしたとき、ほんとうは返事を出したかったんだよ。でも、がんばってほしくて…』
「……翼」
『返事を出せてないことが多かったっていってたけど…ちゃんと読んでるんだよ?昨日の電話でいってたから』
「……そっか……なんか力抜けちゃった」
『…だって、翼君』
「………・はい??」
電話越しからでもわかる笑顔な声の岬にはじめはきょとんとした。
そして、岬に変わって出てきたのは、会いたくて焦がれていた人物
「…翼」
『ごめんね、はじめ…俺』
「…もういいよ。翼、ちゃんと読んでくれてたっていうのはわかったから」
『…俺、はじめの手紙を読んで、いつも返事を書きたいと思ってたんだ…でも、言葉を書いていくたびに、会いたいっていう気持ちが強くなって…』
きっと、お互い我慢し続けてきたのだろう。今まで言えなかったこと、言いたくてもためらってしまったこと、それがこの数分で語り尽くされているようにさえ思える。
それは、きっとお互いが強く想い合っているため。
そして、お互いがお互いを信じ、なにがあってもその思いを貫いているため。
それほどの絆が、今の2人にはあるのだろう。
翼は、ひとまず実家に帰ると言うことで、電話を切ることになる。
はじめは寂しい声を出すことはなかった。来週には、愛しい恋人に会えるのだから。
「来週楽しみにしてるね!」
『…うんっ』
そうして、受話器から耳を離していく
「あ、文句はちゃんというからね」
『ええー!』
こんな2人のやりとりを岬は、優しい笑顔で見守っていたのだった。
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作者名:佐倉雪 | 作成日時:2019年2月18日 15時