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NOside

ベテランは独自の判断で射撃をすることもあるが、手塚のレベルでは指揮者の介入判断に従うのが精一杯である。

「お前に精度は期待してない、むしろ外していけ。高所からの射撃はそれだけでプレッシャーになる」

「了解」

適正ありと判断されてライフル射撃の訓練は受けているが、入隊一年目の新人が精度で十年選手に張り合えるとは手塚も思っていない。

耳に挿したイヤホンから狙撃班の周波数へ通信が入った。

「“正門から狙撃班へ、援護を願う”」

「俺と手塚が回る、あと一人来い!残り二人は裏門を警戒のこと!」

呼ばわった進藤が下から人数を把握されないように低い姿勢を保ったまま正門を狙える位置へ移動し、手塚もそれに倣う。
正門側ではバリケードと塹壕を使い激しい銃撃戦が始まっている。

高さを取れる点では図書隊側にアドバンテージがあるが、無造作に撃てる点では良化部隊のアドバンテージが上だ。検閲対象施設外の公共物や個人資産を射撃で破損した場合、その補償は「中から外へ」向かって撃つことが必然の図書隊の負担となることが多い。
実際には特殊な損害保険で処理するが、損害実績は保険料の値上がりに直結する。
近年、保険料は値上がりの一途をたどっており、図書隊の予算をかなり圧迫している。

風向、風力を鑑みてスコープを調節し、手塚は良化部隊へ狙いをつけた。
高所から狙われていることを教えるために門柱の上のブロンズの装置を標的とする。

軽く息を詰めて引き金を絞り、過たずブロンズが砕けた。
そして進藤らが配置の間隙へ威嚇射撃を次々と叩き込み、部隊が追われるように後退に転じた。
苦し紛れに屋上を狙った発砲の弾道は射撃手たちの遥か上だ。

最終的には敷地内に押し込まれ、館内と外の攻防になるだろうが、少なくともヘリの第一便が到着するまでは保たさねば二便までを持ちこたえることは不可能だった。

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設定タグ:図書館戦争 , 小牧幹久 , 小説沿い   
作品ジャンル:恋愛
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オムライス(プロフ) - 田中圭くんにハマって一気に読みました!続き楽しみにしてます! (2020年9月26日 8時) (レス) id: 3df1040212 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミブー - 楽しく拝見させて頂いています!大変かとは思いますが、続きを期待しています!応援しています! (2020年6月4日 4時) (レス) id: b581b337c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きぃ太 | 作成日時:2019年9月22日 9時

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