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邂逅(4) ページ5

 
 
雀の鳴き声で目が覚めた。




見慣れない天井に、昨日のことは夢じゃなかったのだと思い知らされた。






あのあと、私は忍者のような風貌の人に背負われてこの宿に運ばれた。



部屋に通された後、私は倒れるように眠りに落ちてしまったからそれからのことは知らない。




ひとまず、あの人の言う通り家に行かないと。





そう思い襖を開けると、宿主の女性が「おはようございます、お目覚めになられたのですね」と柔らかく笑った。





女性は私に「鬼狩り様より、伝言を承っております。朝食を済ませたら生家に赴くようにとのことです。」と告げる。






ありがとうございます、と曖昧に返事をしたものの、疑問が残る。





鬼狩り様というのは、きっとあの傷だらけの人のことだろうな。

でも、鬼って?





「あの、鬼狩り様って…」




女性に問うと、女性は私に朝餉を用意し、こう教えてくれた。






曰く、彼は鬼と呼ばれる化け物を退治する組織の人間なのだと。


曰く、鬼は人を喰うのだと。


曰く、ここはその組織を援助する為の宿なのだと。





「詳しいことは鬼狩り様が教えて下さいますよ」





そう言って女性は私に紙を差し出した。






___________





紙には宿から家までの地図が書かれていた。


 


歩いて十五分程で着けるらしい。





朝餉を食べ終え、私は地図に倣って家へ向かった。







地図の通り、宿から家まではそれ程時間はかからなかった。






見慣れた家の外観は、玄関扉が蹴破られそこから木の破片が散乱する屋内が見えたりと見違える程に破壊されている。





思わず足を止めると、昨日の低くてぶっきらぼうな声が耳に届いた。




 


 

「…昨日は災難だったなァ」

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作者名:薄氷 | 作成日時:2021年2月8日 20時

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