【刀剣乱舞】我等『狂歌』の名の元に-藍-<岩融> (ページ14)

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十二話ページ14

「藍、持ってきたぞ。」

うん。と頷くと、粥が入った椀を床に置いて、上半身を起こすのを手伝ってくれた。

「あ…………悪いな。」

椀を受け取って粥を口に運ぶ。

「あちっ。」

思うよりも熱く、食べるのを少し待った。

「何をしておるのだ？」

「………熱くて食べられない。」

「おお、そうであったか。」

貸してみろ。と言われ、匙をわたす。

その匙に数階息を吹きかけて、ほら。と差し出される匙。

俺はその匙に食らいついた。

少し冷めた粥は、数回噛んだだけで直ぐに口の中から消え去った。

「旨いな。岩融が作ったのか？」

「嗚呼。」

匙を受け取り、粥を食べる。

「………岩融。」

「ん？」

「先程、夢を見た。」

「ほう、どんな夢だ？」

「周りに、誰もいなかった。」

「……………。」

「一人で暗い所を歩いていたんだ。いくら歩けど歩けど景色が変わることは無い。
…………そんな夢だ。」

「熱で魘されていたのだな。」

「そうかもな。」

空になった椀と匙を床に置くと、岩融がそれを受け取った。

「下げてくる。お前は寝ていろ。」

一度頷いて岩融の背中を見送る。

再び布団に入るが、先程の夢が怖くて目を瞑れない。

それと同時に、目尻から涙が溢れ、胸の方から喉元へ、分からない感情が込み上げてくる。

「おい藍、主が現代の薬をくれたぞ。」

「あ………うん。」

涙を拭って、良く分からない錠剤と水を受け取る。

「これは、どうやって………？」

「水を含んで、錠剤と一緒に一思いに飲み込むらしい。」

「………わかった。」

水を含み、錠剤を口に入れてそのまま飲み込んだ。

「ッ！？ゲホッゴホッ！ゴホッゴホッ！」

「どうした？」

「悪いな。むせた。」

岩融が背中を擦ってくれる。

「大丈夫か？」

「嗚呼。有難う、岩融。」

「嗚呼。」

空になったコップを持って出ていこうとする岩融の服の裾を掴んだ。

「………あ、悪いな。行ってくれ。」

手を離し、岩融を見ないように下を向く。

パタンと障子が閉まる音がして、顔を上げると、

…………………………………んん？

今、岩融は出て行ったんだよな？