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私と竹谷八左ヱ門の対面同席五百生 ページ7

「竹谷先輩っ!カメムシが脱走しました!」
「なに⁈孫次郎、今行く!
……って善法寺先輩!足元!足元!」
「ん?わぁああああっっ!」

また走り回って。
箸を持っているということは今日脱走したのは虫だろう。事の始まりは後輩が壷をひっくり返した事。委員長代理の彼はというとため息もつかずに後輩を励まして笑って作業に取り掛かる。

「柳ちゃん?疲れてるなら休憩してきたら?」

外を見ていた私を疲れていると思ったのか同僚の秀作が気遣ってくれる。
彼を蹴落として事務員になろうとしている出茂鹿にさえもそんな調子なのだからよっぽど人が良い。

「秀作の仕事が終わってからね」

ひょいとまだ何も書かれていない書類を取り上げて必要事項を記入していく。
終わった頃でも外はまだ騒がしかった。

「秀作も休憩したら?」
「そうだね。少し眠ろうかな」

机に伏せた秀作を尻目に私は相変わらず賑やかな校庭へと向かった。
誰もが脱走した虫たちに驚きの声を上げる。
生物委員会は毒虫を踏んでしまった善法寺くんの周りで祈っている光景を見ているしかなかった。

「佐伯さん。此処は危険ですよ」

私の手を引いてくれるのは食満留三郎くん。
面倒見がいいのでぼんやりとしていた私のことを放っておけなかったのだろう。
虫を踏んではいけないからと抱き上げようとする彼をなんとか止めながら物思いに耽る。


また違う。


そう思いながら私は安全な場所へと送られていく。

「留三郎。佐伯さんを連れてどうした?
……忍者の三禁を忘れたとはいうまいな」
「誤解だ。文次郎。
俺は毒虫がいない場所に連れてきただけだ」

犬猿の2人が喧嘩を始めると立花くんが私の腕を掴んだ。

「喧嘩に巻き込まれる前に行きましょう」

彼らの間から抜け出す。
同じような年頃の女が物珍しいのだろう。
彼らは成長するにつれて肩に手を置いて腰に腕を回して自然とは言いづらい距離感で接してくる。
町へ出れば私以外の女だっているだろうに。

「立花先輩。どうしたんですか」
「喜八郎、丁度良かった。
少しの間、佐伯さんの側にいてくれないか。
私がすぐに迎えにくるから」
「わかりました」

立花くんが側を離れると穴掘り小僧こと綾部くんが私の太腿に頭を乗せる。


きっついなあ。ほんと


一度距離感が縮まったらもう戻らない。
胸の痛みとともに言葉も交わしたこともない貴方への希望が膨らんだ。

☆→←女好きな私と鉢屋三郎



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はたはた(プロフ) - 雅榴さん» 雅榴さん、コメントありがとうございます!とても沢山褒めていただけて嬉しいです^ ^リクエスト承りました!お時間がかかると思いますが必ず書かせていただきます! (2019年5月11日 16時) (レス) id: d037e4ab14 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - お初失礼します。他にはない独特の世界観や言葉のセンス等々いつも楽しませて貰っています。女好きのシリーズで土井先生のお話はリク可能でしょうか?もしよろしければご検討ください。無理せず今後も頑張って下さい。 (2019年5月5日 17時) (レス) id: cad46f67b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さえき | 作成日時:2018年8月18日 14時

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