女好きな私と鉢屋三郎 ページ6
女の子は可愛い。
自分は悪くないのに自分を責めてしまうところとか
他にも色々あるけどね。
「佐伯さぁん。またお出かけですかあ?」
なんともまあ五月蝿い男がきたものだね。
言動が厄介なだけじゃなく、にやにやと笑う顔も五月蝿いのだから好意的に思えるわけもないよね。
「ああ、少し用事があって」
「へえ」
冷たいように聞こえる返事は興味の裏返しだ。
君が夜な夜な遊び歩いている私の噂を知らない筈がないからね。
「なに、君が気にしているようなことはしないよ。ただ慰めるべき友人がいるだけだ」
そう言い残すと恨めしそうな彼を置いて夜の街へと繰り出すのだった。
やけに大きな家だね、と独り言に近い声量で漏らすと隣の彼女には聞こえていたらしい。
乾いた笑い声が私の耳に響いた。
箱入り娘だとは聞いていたのだけれどもこんな立派な家に嫁いだとは思わなかったね。
「私は穢れているの」
そう零した彼女の唇を塞ぐ。
忍術学園にも裕福な家庭で育てられたのだろう子どもたちが数多くいる。例えば福富しんべヱくんなんか実家がお金持ちだということで有名だよね。
生活を共にしていると見逃してしまいがちな所作だったり、些細な言動だったり、その端々で分かってしまうことだってあるのだ。
そしてそれは目の前にいる彼女にも通用する。
どうか印は残さないで
旦那様に怒られてしまうから
その一言で私は悟った。
彼女は闇の深い人間だ。
でも私は彼女のことをよく知らない。知ろうとも思わない。
くだらない実にくだらない。
結局、彼女は自分の夫を愛せなかったばかりかお義父上から手を出された哀れで可哀想な娘だったのだ。
「私が代わりに彼女を慰めてあげましょうか」
入門表にサインを書いてから忍術学園へ入ると鉢屋くんは塀に寄りかかりながら私に問いかけた。
「そう言いながらお前は彼女に自分の欲を押し付けるつもりだろう」
こいつも所詮はただの男だ。
そんな欲を向けられる女の気持ちになってみろ。気味が悪いだけに決まってる。
こんなに正直に自分の欲求を満たしたいと言えるのだから私も噂を気にしている方が馬鹿馬鹿しくなってくる。
いや、駄目だ。くノ一の子達に感づかれるわけにはいかない。
そもそも何で私と上手くいっている女の子の存在を知っているんだ。
どうしてこう上手くいかないんだろうね。
ねえ、鉢屋くん。
何で私の愛した女の子たちを取ろうとするの?
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はたはた(プロフ) - 雅榴さん» 雅榴さん、コメントありがとうございます!とても沢山褒めていただけて嬉しいです^ ^リクエスト承りました!お時間がかかると思いますが必ず書かせていただきます! (2019年5月11日 16時) (レス) id: d037e4ab14 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - お初失礼します。他にはない独特の世界観や言葉のセンス等々いつも楽しませて貰っています。女好きのシリーズで土井先生のお話はリク可能でしょうか?もしよろしければご検討ください。無理せず今後も頑張って下さい。 (2019年5月5日 17時) (レス) id: cad46f67b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さえき | 作成日時:2018年8月18日 14時