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頬を包まれた手のひらから
ヒスンの体温が伝わる。
どうして貴方はこんなに
簡単に私に触れるんだろう。
好きだから、私が
拒めるはずないのに。
「なんで、そんなに可愛いの」
「…えっ」
ヒスンの熱の込もった眼差しに、ただ戸惑った。
だってそんなヒスンの表情は
これまで見たことがなかった。
今の台詞だって。
駄目だ、これ以上は心臓が持たない。
「私っ、寝ます」
「え、シャワーは？」
「おやすみなさいっ」
その手を振り払い、耐えられず逃げ出した。
パタンと閉めたドアに背を向け
脱力したように座り込む。
「駄目……勘違いするな」
ヒスンの触れていた頬を抑えて
必死に冷静になろうとした。
まだ、熱い。
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.
「ごめん。別れて欲しい」
「どういうこと？」
「だって…Aはさ、自立してるし
俺が居なくても大丈夫そうだなって。
…俺、妹のミニョちゃんの事が好きなんだ。
必要とされてるっていうか、
か弱くて守ってあげたくなるっていうか」
「なんで。どうして、ミニョなの」
「好きになったもんはしょうがないだろう。
嘘ついてまで付き合い続ける方が
Aを傷付ける事になるし…
だから、悪い…」
「…わかった。」
アラームがけたたましく鳴り響き、飛び起きる。
額に浮かんだ汗がたらりと頬を滑った。
「夢……」
何故、今こんな悪夢を見てしまったのか
それはなんとなくわかる。
恋をする感覚は二度目だ。
再びあの頃のトラウマを思い出すのは
ヒスンを好きになったせい。
ヒスンには話すことはなかった
高校時代にした失恋。
必死で勉強し、やっとの思いで入学できた
進学校に通っていた時の話だ。
人生ではじめて出来た恋人だった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
作者です。
どうしても完結したく
ゆっくりですが更新していきます。
温かい目で読んでくださいますと幸いです。
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作者名：yori | 作成日時：2022年8月24日 23時
