危険 ページ2
「これって、"予知夢"ってやつですよね?今までも2、3人ほど此処に相談に来た人、いましたよね」
「ああ。居たには居たが…海みたいなパターンは初めてだ。今までの奴は一夜限りか、長くても3日だっただろ。1ヶ月なんていくらなんでも長すぎる」
朝野の言葉に、渉は首を傾げる。確かに、海のように1ヶ月の間毎晩予知夢を見続けた人は初めてだ。うんうん唸って考えていると、同じく深く考え込んでいた京介が急に顔を上げた。
「もしかして、海の家に何かが憑いてて、それが海に予知夢を見せてるとかじゃないですか?ほら、普津先輩の時みたいに」
「あー、あり得るかもな。普津の時は、庭木に封印されてた怪物に神隠しされたんだっけ?」
「はい、確か。…あの時は、怪異が依頼者に化けて此処に来たんでしたっけねぇ…」
京介の言葉に頷くのは、聖也と椿。…というか、椿の後ろに吹雪が見えるのは、気のせいだ、きっと。というかそう思いたい。…と、その場の全員(椿を除く)が思ったのは、言うまでも無い。
――そして15分後。
結局、土曜日に部員全員で海の家に泊まり何かが憑いていないか調べる、という話で落ち着いた。取り敢えず今日は、部員全員で海を家まで送って行くこととなった…のだが。
「どうして香達まで着いて来るのさ…巻き込まれたらどうするの?」
溜息まじりに呟く海と、苦笑いを浮かべる渉と京介。まあそう言った所で彼らが簡単に考えを曲げたりしないことは、3人が一番よく知っているのだが。
「海が困ってるのに放っとくとか、俺らには考えられないっつーか」
「ていうか、どうして1ヶ月も相談してくれなかったんだよー!?」
「そうですよ、海君。梅花さんの言う通りです」
「…もういいよ、勝手にすれば?」
「あ、海、もしかして今照れてる?」
「は!?何言ってんの!?そんなわけないでしょ!?」
そんな阿呆な会話が続く、いつもの通学路。
しかし、海の心には、なにかモヤモヤとしたものが広がっていた。
――なんだろう。何か忘れてるような……もしかしてこの後、なんかあった?――
「大体、海は昔から細かい事気にしすぎ。夢の事そんなに考えても、しょうがないっていうか?」
そう言って皆より少し前に行った所で海を振り返る香。
――そうだ。香がこうして少し前に行って…その後…――
はっとこれから起こる事に気づいた海の顔が真っ青になる。
「香、そこすぐ退いて!!危ない!!」
海がそう叫んだ途端、香の頭上に大きな影がかぶさった。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Lemon | 作成日時:2015年11月5日 1時