呪術世界の蝶の子 Part 2 【呪術廻戦】【鬼滅の刃】【完結】

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目を覚ますと慣れた消毒の匂いに白いカーテン。一面が白のソレは五条に引き取られた時によく見ていたもの。
　

『保健室みたいな』


頭を押さえる。まだ、頭がズキズキして痛い。カナヲの顔が頭から離れない。もし、私は最終局面(あの時)の後に生きていたらカナヲとあんな風に過ごしてたのかな。


『…大切な人』


無意識に心臓がある場所に手を置く。目を瞑ると、姉さんとカナヲの後に高専のみんなの顔が出てきた。


『出来たかもしれない』


前までは目を瞑ってもきっと出てこなかっただろう彼らの顔。少しの間で彼らは私の中に凄い浸透しているようだ。


「あ、カナデ起きた〜？」

『五条』


ニョキっと扉を開けて部屋を覗いてきたのは真っ白い頭をした五条。ツカツカと中に入ってくると私を抱いた。
　

『え、え？』

「今から交流会の続きで野球をすることになったんだ。カナデは大事をとってベンチで観戦ね」

『や、野球？』


未だに頭の中で情報がグルグルと周りパンクしそうだ。えっさっさ、ほいさっさっ、と連れられたのはグラウンド。


「カナデ、起きたのね！」


駆け寄ってくるのは野薔薇だ。五条の腕の中でコクンと頷くと「よかった…」と溜息をつかれる。


「伏黒よりも目覚めが遅いからほんと、心配したわ」

『伏黒よりも…』


聞くと、棘先輩と加茂さんは言わずもがな私と伏黒もトントンな怪我をしていたらしい。


『普段、術式で怪我をしないから回復が遅かったんだと思う』


呼吸してるのに。と心の中で文句を言うが、怪我を今世ではあまりしてないから回復速度が遅いのも当たり前か、と一人納得する。

私をベンチに座らすと五条は「じゃあね」と手を振りながらグラウンドに行った。


真希先輩がボールを投げてそれを三輪さんが打つ。西宮さんが走り出して、それを庵先生が注意している。


『昨日なんて夢見たい…』

「おかか」

「昨日じゃなくて一昨日だぞ。1日、休憩挟んだからな」

『え、…五条何も教えてくれなかった』


棘先輩と伏黒に教えられて一人頬を膨らます。ハッと気づいて頬を萎ませようとすると横から棘先輩に頬を突かれた。


『や、やめて』

「しゃけ、おかか」


軽く睨むと手を合わせてごめんと言うふうに振る舞う彼に溜息をついた。


『あ、真希先輩ホームランだ』


と思ったら西宮さんが空中でボールを取った。


『あ。…ふふ、野球って面白い』


結果は東京校の勝利だった。



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