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「ほんとか!?栗花落」
『絶対ではないけど、たぶんそう』
私と伏黒が話す横で棘先輩がゴホリと咳を吐く。たぶん、吐血するのも時間の問題。扉から外に飛び出る。屋根の上に乗り、奥まで走る。
「狗巻先輩が止めてくれる。ビビらずいけ」
伏黒が鵺にそう語りかける。
ゆっくりと場面が動き、特級の腕が鵺の体を貫くのを捉えた。呪言がなかった…、つまり、棘先輩は……!!
『棘先輩!』
バッ、と後ろを振り向くと血を垂らして座り込む人影。だめ、私がなんとかしないと。私の斜め前方にいた加茂さんが呪霊に叩かれる。
『ッ!!加茂さん』
「生きてますか!!加茂さん!!」
伏黒が加茂さんを抱え込む。ヒュッと喉で空気が鳴った。嗚呼、ここは地獄なのだろうか。生まれ変わっても変わらない地獄。時間が止まっているように見える。
やだ、いやだ。人の死はもう目の前で見たくない。
「高菜」
先輩の声がする。
「狗巻先輩!!それ以上は…!!」
伏黒の声がする。
______カナデならできるわ
姉さんの声がどこかでした。
「『ぶっとべ』」
やけにゆっくり、先輩の口から血が噴き出るのが見えた。呪霊が吹っ飛び、私たちから距離を取る。
『わたしは、私は私のするべきことをする』
強くもない、弱くもない。姉さん達のような覚悟もないし、妹のように心を花開かせるのは遅い。普通のようで普通ではない私が出来るのは時間稼ぎ。
慢心したものから、善人から死んでいくこの世界では自分のできる最大限をするだけ。
呪霊の後ろから斬りかかる真希先輩が見えた。あの刀、刃こぼれしてる…。たぶん、次で刃が折れる。
『ッ』
最短最速で彼女に向かう。足に力をためて、雷の呼吸程ではないけど早く動く。
ギィンと刀が鳴って折れる。伏黒が刀を出して、呪霊に斬りかかる。私は彼らの襟首を掴むと、後ろに投げた。
「なっ…」
「おい!カナデ!!」
時間稼ぎなら一人でいい。時間を稼ぐだけだもの。この人達を逃したらきっと増援を連れてきてくれるはず。上に西宮さんが居ることはさっき確認した。
______花の呼吸・弐ノ型 御影梅
私を中心に揺り籠のように攻撃し、防御をする技。
______貴方一人で私の相手を?
『…そう。時間稼ぎなら私一人で十分だと思った』
″倒す″なら無理だけど。二人が行ったか確認できないのが少し辛いけど、気配はないからたぶん此処にはいない。
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白い流星ーいずみんー(プロフ) - トマトまとさん» コメントありがとうございます。ありがとう、を伝えるのは私の方ですよ〜。最後まで読んでくれて、コメントもしてくれて本当にありがとうございます。 (2021年12月8日 21時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
白い流星ーいずみんー(プロフ) - ピコピコさん» コメントありがとうございます。棘くん声がいいですもんね。歌うまそうなのすごく分かります。 (2021年12月8日 21時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後に皆に気持ちを伝えれて、感情が表に出るようになって良かったと思います!ありがとうございました。 (2021年12月8日 21時) (レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
ピコピコ - 皆さんも聞いてください。棘さんの顔が浮かんできます (2021年7月29日 22時) (レス) id: a1310badd0 (このIDを非表示/違反報告)
ピコピコ - 棘さんって絶対歌が上手いと思うんですよ。(何言ってんだコイツ)Eveさんの曲を熱唱して欲しいな〜たまに声が高い所とか、絶対合う!Eveさんの曲聞く度に棘さんの顔が出てくるんですよ、私 (2021年7月29日 22時) (レス) id: a1310badd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い流星ーいずみんー | 作成日時:2021年7月10日 0時