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『領域展開…』
私がポツリと呟くのに合わせて伏黒が「ハハッ!!」と血を垂れ流しながら言った。領域展開は術式の中でも最も術師への負荷が重くまず発現させることも難しいモノ。
目の前の呪霊がガクンと崩れた。横にいた伏黒がフッと消えると呪霊の横に現れて顔を蹴る。
手出しなんか出来なくて、何も出来ずに刀を持つだけで立っている。ふと、領域が崩れ去り、呪霊が「アハッ」と言うのが聞こえた。
その直後ドスッという音と共に呪霊の心臓部分が伏黒の式神である渾が貫いていた。
「玉犬の爪はアレにも傷をつけた。不意のオマエを貫くくらい訳無いさ」
ジワリと鬼のように崩れていく呪霊。
「……疲れた」
そう言って崩れ落ちていく伏黒に慌てて駆け寄り、支えた。
『大丈夫?伏黒』
「あぁ。…………どこだよ、アイツら」
カクン、と伏黒の力が抜け落ちるのを感じる。ザアァァとあたりの景色が戻って、夜の帷があたりを包み込んだ。
『…待とう』
本当は野薔薇達を追いかけた方がいいのかもしれないけど。
…………伏黒は今、指を持ってるし置いといたら危ないから私も一緒に待っとくの。
伏黒の隣に座って枝を探す。ツーと地面を枝でなぞると丸がかけた。
『まだかなぁ、野薔薇達』
チラリと伏黒を見て、コテン、と首を傾げた。伏黒の首…というか頭痛くないのだろうか。足の上にそのまま頭を乗っけている様子は見ていてとても痛そうだ。
そっと彼に近づいて頭を持ち上げる。…かなり重い。そーっと頭を私の膝の上に置いてちょっとだけ髪の毛に触れてみた。
『…………ふふっ』
思わず笑みが漏れる。柔らかいのにツンツンしている感じは姉さん達の髪でもなく、妹の髪でもない。伏黒特有のものだ。
暫くそうして遊んでいるとふいに後ろから音が聞こえた。顔だけそちらに向け、遊んでいた手は地面に置いている刀に伸びる。
チャキと澄んだ音が聞こえた時、ガサガサと茂みから人が出てきた。
『!!野薔薇!虎杖!』
帰ってきた2人のその姿を見て目を丸くする。何があって、そんな…。2人は虎杖は比較的マシな傷だから擦過傷が身体中にあるし、野薔薇にいたっては右腕の制服はなくなり酷い怪我だった。
「栗花落。ただいま」
「何シケた顔してんのよ、カナデ」
『2人ともその怪我…』
そういうと、「あぁ」と野薔薇は言って「大丈夫」と虎杖は笑った。
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白い流星ーいずみんー(プロフ) - トマトまとさん» コメントありがとうございます。ありがとう、を伝えるのは私の方ですよ〜。最後まで読んでくれて、コメントもしてくれて本当にありがとうございます。 (2021年12月8日 21時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
白い流星ーいずみんー(プロフ) - ピコピコさん» コメントありがとうございます。棘くん声がいいですもんね。歌うまそうなのすごく分かります。 (2021年12月8日 21時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後に皆に気持ちを伝えれて、感情が表に出るようになって良かったと思います!ありがとうございました。 (2021年12月8日 21時) (レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
ピコピコ - 皆さんも聞いてください。棘さんの顔が浮かんできます (2021年7月29日 22時) (レス) id: a1310badd0 (このIDを非表示/違反報告)
ピコピコ - 棘さんって絶対歌が上手いと思うんですよ。(何言ってんだコイツ)Eveさんの曲を熱唱して欲しいな〜たまに声が高い所とか、絶対合う!Eveさんの曲聞く度に棘さんの顔が出てくるんですよ、私 (2021年7月29日 22時) (レス) id: a1310badd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い流星ーいずみんー | 作成日時:2021年7月10日 0時