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ページ37

カナデside



その姿があまりにも自然で一瞬、息をするのを忘れた。でも、今の粉は間違いなくあの藤の毒。伸ばした手が震えた。引き止めたい、やめさせたい。でも、止めたら止めてしまったら姉さんの邪魔になってしまう。それがたまらなく嫌だった。でも、それ以上に姉さんが苦しむのが嫌だった。

なんで、私は何も言えないの。


口がカラカラに渇いて仕方がない。「飲むのをやめて」って言うだけなのに唇が震えて声が出ない。


「カナデ?」


優しく呼ぶその声に私は手をはっきりと伸ばした。ギュッと強く握りしめたのは姉さんの羽織。


ーーー私が私たちがいなくなっても、心を閉ざさないで。心のままに生きてちょうだい。姉さんは貴方の笑顔が大好きよ


先ほど聞いた言葉が頭の中で再生される。


顔をあげられなくて俯いたまま私は口を開いた。心のままに。


『行かないで』


出てきた言葉は今まで思っていたことと全く違うものだった。


「カナデ?」


不思議そうに姉さんが私の名前を呼んだ。そうだ、そうだった。


『姉さんが苦しいの嫌、なの。自分から命を捨てようとしないで、姉さん』


ねぇ、姉さん。


「…………」


姉さんは何も言わない。悲しそうに笑う微笑むだけで、言葉を何も紡がなかった。ぐらり、と視界が揺れる。あ、これ、また変わる。そう思った時、姉さんの口が揺れた。


「ごめんなさいね、カナデ。いつか、きっと貴方に大切な人が出来ますように」


何言ってるの、と言おうとして私は目を閉じた。次に目を開くと、私が最も憎い場所だった。無限城。鬼舞辻無惨の根城。

横を見ると、カナヲが一緒に走っていて、パンッと扉を開けるとしのぶ姉さんが上弦の弐に取り込まれているところだった。


「師範!!」

『姉さん!!』


同時に声を出し、斬りかかる。霞んでいた視界が一気に晴れるように上弦の弐(アイツ)への怒りを鮮明に思い出す。


憎い、憎い、憎い!!


よくも殺したな、私の肉親を!!記憶にある通りにしのぶ姉さんの毒と駆けつけた伊之助のおかげで上弦の弐を突破する。

満たされたと思った、心は乾き始めていた。


「姉さん」


クイッと袖を引っ張られる。振り向くとカナヲが私の袖を持っていた。


『どうしたの?』

「大好きだよ」


唐突に伝えられた愛の言葉に少し驚きながらも「私もよ」と伝える。


「姉さん、これが終わったら姉さんも私達以外に大切な人、作ってね」


そんな会話を交わした記憶。



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白い流星ーいずみんー(プロフ) - 桜つゆりさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです(とても)! (2021年8月12日 21時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
桜つゆり - 泣きました。感動しました。今まで見てきたクロスオーバーの話の中で1番です。神作です! (2021年8月12日 21時) (レス) id: c5f5202b6b (このIDを非表示/違反報告)
白い流星ーいずみんー(プロフ) - ピコピコさん» 疑問系ですね…、教えてくれてありがとうごさいます! (2021年7月9日 19時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
白い流星ーいずみんー(プロフ) - わかさん» コメント、ありがとうございます!棘くんが普通に話してたら、毎日キュン死しそう…。これからも頑張ります! (2021年7月9日 19時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
ピコピコ - 失礼します!44話の「交流会」の話で棘先輩が「なんで過去形?」って言ってるんですけど、疑問形だと思うのですが、確認をよろしくお願いします!! (2021年7月9日 15時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白い流星ーいずみんー | 作成日時:2021年6月2日 20時

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