検索窓
今日:8 hit、昨日:62 hit、合計:418,403 hit

ページ15





「では、任務に向かいましょうか」

『どこに行くの?』

「先程五条さんに任務表を渡されましたが、なかなかハードですよ。まず、此処東京での任務を一件したのち地方に行っての任務が入っています」

『そう』


聞いた感じではハードに聞こえないけど、たぶん短略したんだろな、というのは伝わった。七海と一緒に外に出た私達は補助監督さんという人がいるところに向かった。
補助監督さんとは、前世の隠と似たような働きをしている人らしい。主に私達呪術師の補助をしてくれてる人達だ。大事にしなければならない後方の人たち。


『…………』


ボー、と車に乗って過ぎ去る景色を見つめる。そういえば、もうすぐ藤の季節だったなあということを思い出した。
カナエ姉さんが居なくなる前はよく隠の手伝いに行った気がする。カナエ姉さんが私とカナヲを連れて隠の本部まで行って、藤のお守りを一緒に作っていた。
今となってはそれはもう古い思い出で。私の心のアルバムにしか残っていない記憶。


「何かありますか?」

『特に何もない。…………もうすぐ藤の季節だと思っただけ』

「藤が好きなんですか?」

『…………たぶん』


好きかどうか聞かれたら、唸るところだ。藤は私にとって必要不可欠だったものであると安心するものだ。


『……七海さんは好きなものってある?』


ただの興味本位。


「パンやアヒージョが好きですね」

『食べ物?』

「はい」

『そう』


アヒージョってなんだろう。そう思ったけど、どうでもいいから聞くのをやめた。聞いても、食べることはないだろうし。


「着きました。準備はいいですか?」


車を降りると目の前に見えたのは大きな山。……なんてことはなく何処にでもあるようなビル。ただ、時代に乗り遅れたような古臭さを感じる廃れたビルだ。


「資料によると此処はよくじさつ者が出る場所のようですね。階級はおそらく2級程度と思ったらいいでしょう、行きますよ」

『わかった』


腰に刺してある日本刀(その存在)を確認した。ホッと一息ついて先を歩く七海の後ろをついていった。建物の中に入ると一気に感じる、冷たさ。冷気というのだろうか。
少し肌寒いように感じる。


『二手に分かれる?』

「いえ、今回貴方には付き添いが必要です。なので、離れることなど論外です」

『わかった』


暫く歩いていると、妙に背筋が凍った。



・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (299 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
666人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

白い流星ーいずみんー(プロフ) - 桜つゆりさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです(とても)! (2021年8月12日 21時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
桜つゆり - 泣きました。感動しました。今まで見てきたクロスオーバーの話の中で1番です。神作です! (2021年8月12日 21時) (レス) id: c5f5202b6b (このIDを非表示/違反報告)
白い流星ーいずみんー(プロフ) - ピコピコさん» 疑問系ですね…、教えてくれてありがとうごさいます! (2021年7月9日 19時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
白い流星ーいずみんー(プロフ) - わかさん» コメント、ありがとうございます!棘くんが普通に話してたら、毎日キュン死しそう…。これからも頑張ります! (2021年7月9日 19時) (レス) id: 0e37fab493 (このIDを非表示/違反報告)
ピコピコ - 失礼します!44話の「交流会」の話で棘先輩が「なんで過去形?」って言ってるんですけど、疑問形だと思うのですが、確認をよろしくお願いします!! (2021年7月9日 15時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白い流星ーいずみんー | 作成日時:2021年6月2日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。