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『ねぇ、やまだぁ…』




「ん?どうしたの?いのおちゃん(ふふ。かわいい天使のお出ましだ♡)」





『あのね……、カメラ、ほしいぃ…』





いのおちゃんの言葉と ともに




す、と差し出された カメラの冊子。






「え?」






冊子には たくさんの一眼レフカメラの写真が載っていて、





『これ…』と、いのおちゃんが ゆびさしたカメラの写真には




赤ペンで 花丸と "りょーすけに おねがいする♡"(鼻血出る!鼻血出る!鼻血出る!)と書かれていたが、







それどころではない。








「(何してんだテメェ。いのおちゃんのこと たぶらかしやがって…。ストーカーか?紙面上のカメラのくせに、そのレンズで いのおちゃんのこと盗撮しようとしてんのか?はっ、残念だな!所詮 お前が撮れるのは、服を着た よそ行き顔の いのおちゃんなんだよ!!俺はなぁ、いのおちゃんの 生まれたままの姿も、おち んちん おっきくさせて、あんあん♡ないてる姿も、おなかを押さえながら、便器に座って 苦しんでる姿も、全部 この瞳で見て、頭と こころ(と ビデオカメラ)に焼きつけてるんだぞ!!なぜなら 俺は、いのおちゃんの旦那だからな!!っていうか、すでに ビデオカメラ15台持ってますから!十分 足りてますから!動画も撮れないカメラなんざ、お呼びじゃねーんだよ!!)





…いのおちゃん。カメラなんて買って どうするの?写真なら ケータイで撮れるし、それに 俺のケータイ、画素数一番高いヤツだから、カメラで撮る写真と変わらないよ?」





『だってぇ…』




「"だって"なに?それに いのおちゃん、これ ちゃんと読んだ?このカメラ、20万もするんだよ?


きついこと言うようだけど、これは 俺たちには必要ないよ」







『俺、やまだとの家族写真 撮りたかったんだもぉん…』






「…え?」





『今まで、ふたりの写真 たくさん撮ってきたけど、全部ケータイだったでしょ?だから 正装して、スタジオでプロの人に 写真撮ってもらいたいなぁ…って思ってぇ。

でも 俺たち 芸能人だから、写真屋さんとか行けないし…。でね、ゆうとに相談したら「撮ってあげるよ」って。

機材も全部そろってるから、大丈夫。って言ってたけど、せめて、カメラぐらいは 自分で用意したくって…』







「いのお、ちゃん…(あれ?胸が つまって、息が出来ない…)








……その冊子、見せて?買うなら、一番高いヤツにしないと」








fin

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作者名:本田 | 作成日時:2019年5月29日 21時

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