ぎゅってして。Fuma.K

第9話 ページ9

家に着くなりアルバムを開く俺。


子供の頃の写真なんか見たって、同一人物かなんて分かるわけがないんだけど、確認しないといけない気がした。


あれから何年も過ぎているわけだし、顔だって変わっただろうし、化粧だってするだろうし…


菊池「見たって分からねぇよな…」


かと言って、貴女は子供の頃に俺と結婚の口約束をした望月Aさんですか。なんて聞けるわけもない。


そもそも、子供の頃の結婚の約束なんて覚えてるわけない。


…ていうか、俺、なんでこんなの気にしてるんだ？


同一人物だってわかったとしたって、だからどうしろって話だろ…


菊池「まさか俺、結婚の約束引きずっちゃってる…？」


望月さんがあまりにも美人で、言ってしまえば、好みのタイプだから、あの時結婚の口約束をした望月Aだったら、約束を本当にできるから…


菊池「うわ、俺キモチワル！！」


中島みたいなやつだったら、サラッと聞くんだろうなぁ…


菊池「あー、何がしたいんだ俺〜」


サッと簡単な晩飯を作って食べる。


そもそも俺が好みだなあって思ったところで、相手には彼氏がいるかもしれないわけだし、指輪をしていないだけで結婚だってしているかもしれないし…


今の俺、超絶キモチワルイし、カッコ悪い。


菊池「気にしたって仕方ねぇよな…」


一瞬、中島に話してみるべきか迷ったけど、話したら絶対「そんなロマンチックな話があるんだ！」とかなんとか騒ぎ始めて、本人に聞きかねない。


それに俺の思い違いだったらものすごく恥ずかしいし、会社に顔出せなくなりそうだから、やめた。


菊池「今日のメシ味しねぇや…」


平らげた皿を俺は流しに置いて風呂に入って明日を待った。

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