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じっと膝を抱えて座り込んでいると、突然扉を乱暴に開ける音がした。
一瞬心臓が止まった。焦凍が来たのかと思って、怯えてしまったのだ。……しかし、扉を開けたのは焦凍ではなく、勝己だった。
｢爆豪ちゃん、もしAちゃんに酷いことを言うつもりなら、今はやめてちょうだい。私が許さないわ｣
｢つゆちゃん……｣
座り込んだ私を庇うように前に立った梅雨ちゃんの背中は、本当にかっこよかった。きっとこういう人が、いいヒーローになれるのだと思う。
勝己は声を荒らげたり、両手を小さく爆破させて威嚇したりはしなかった。梅雨ちゃんの前に立ち、じっと静かに見つめる。
｢俺は半分野郎みてぇに、コイツを傷付けたりしねぇよ｣
私に危害を加えるようなことはしないと分かったのか、梅雨ちゃんは勝己の前を退いた。
ぱっと明るくなった視界には、私の視線の高さに合わせてしゃがんだ勝己が映った。
｢……なんて顔してんだ、てめェは。朝はあんなにやる気満々だったのによ｣
｢…………｣
目を合わせられなくなって、また膝に顔をうずめた。
早く元通りにならなきゃと焦ってしまい、口も体も上手く動いてくれない。このままじゃ、芦戸さんになんて勝てっこない。
｢何がしたいんだよ猫女。ウジウジしたって何も変わらねぇだろうがよ。お前が今そんなんになってんのは、半分野郎のせいか？｣
｢……お母さんに、会いたい｣
｢は……？｣
｢五歳の時から今までずっと、しょーとの家で暮らしてる。だけど私、お母さんに会って話がしたい。だから体育祭、頑張ろうって思った。
でも、しょーとは……しょーと以外、何も見るなって言う。確かに今までずっとそうしてきた。しょーとの言う通りにしてきたよ。でも私、本当は……！｣
本当は、焦凍と対等な関係になりたかった。焦凍と同じになりたかった。
けれど焦凍は、私をいつまでも腕の中に収めようとする。それじゃあきっと私は、いつまでも変わらない。変われない。
｢体育祭でいい成績残して、お母さんにも見てもらって、会って話してって……都合いいこと考えてた。
夢の見すぎだったのかなぁ｣
今にも泣き出しそうな、弱々しい声がやけに部屋に響いた。
勝己のごつごつとした厚い手が、ぽんと私の頭を撫でた。二週間ほど放課後を共に過ごしたが、こんなことは一度もなかった。
｢てめェが頑張ってたのは、俺が一番見てきた。んで今はアイツのことなんて忘れろ。
てめェは前だけ見てろ｣
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愛犬は天使です。 - 影猫さん» そうですか...............迷惑なこと言ってすいませんでした。これからも応援してます。 (2018年6月17日 16時) (
レス) id: cf71c5c6e6 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - くるり、さん» ご指摘ありがとうございます、完全に二人称視点で書いてました……！右から炎出たら大変なことになりますね。。すごい恥ずかしい間違いしてました、ご指摘感謝ですm(_ _)m (2018年6月16日 20時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
くるり、(プロフ) - 最近の展開にハラハラしながら読ませてもらってます(笑)それでですね、たぶん12-3でエンデヴァーのセリフは｢右を使え｣ではなく｢左を使え｣だと思います。轟くんの炎は左から出るので(･_･) (2018年6月16日 17時) (レス) id: 9048a89fa8 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 愛犬は天使です。さん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けてとても嬉しいのですが、数年前の作品で、私自身完全にジャンル移動しているので、難しいです……。本当に申し訳ございません。 (2018年6月12日 19時) (レス) id: 3f1a8429d6 (このIDを非表示/違反報告)
愛犬は天使です。 - すみません、あの、飼育部屋の更新してくれませんか？あの話大好きで、更新ずっと待ってるんです。お願いします！(土下座) (2018年6月12日 19時) (レス) id: 3074c316a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影猫
| 作成日時：2018年5月5日 17時
