130＊狼娘の心情 ページ41
｢わたし、ゾムのこと、本当に大好きなの……。お願い、ゾムはね、どこにも行かないで……｣
｢A、｣
｢ゾムがいないとね、わたし、また独りになっちゃうの、わたしね、もう独りは……嫌だから、っ｣
｢……A｣
｢だからお願い、……わたしのこと、見捨てないで…………｣
頭より先に体が動いて、Aを強く抱きしめていた。
母親を亡くしたAは、おれと出会う前まで森でずっと独りで暮らしていた。
だからか、酷く依存しおれに執着していた。だけど、それはおれも同じだった。
Aにとって、事後の｢ごめん｣はお別れの言葉だったのかもしれない。だから、見捨てないで、って。
もちろんおれはそんなつもりで言ったわけではなかった。
ちゃんと言わなきゃ伝わらない、と意を決して口を開いた。
｢聞いて、A。
おれはな、Aのこと手放すつもりなんてないんよ。Aがどうしても離れたいって言うなら、そりゃ少しは考えるけども。
おれもAと同じで、本当に本当に大好きやで。
……見捨てたりなんてせんよ。誓って約束する｣
｢ゾム……っ｣
Aの不安がとれるまで、抱きしめて何度もキスをした。
Aの涙が止まる頃には、窓から見える空はもう真っ暗だった。
そしてまた、泣き疲れてしまったのかAは寝息を立てて眠りについた。
腕の中の小さな恋人を抱きしめて、目を伏せる。
今は何だか幸せな気持ちで、この娘が愛おしくて仕方ない。
獣耳や尻尾が生えていてもAは確かにおれの女で、これからもずっと大切に愛を注ぐ恋人だ。
……いつか子どもだって、と考えながらまた強く抱きしめて、自分も眠りについた。
.
＊
｢ゾム、おはよう！｣
｢……ん｣
腕の中から元気な声が聞こえる。
ふぁ、と欠伸をしながら時計を見た。何だ、まだ朝の5時過ぎか。
しかし先に目を覚ましているなら腕から抜け出して起き上がってもいいのに、と眠気眼でAを見た。
｢……ゾム、あのですね｣
｢んぁ……何で敬語……？｣
｢からだ、痛いです｣
…………。
はっ、と気が付き、昨日の出来事を思い出す。
｢ああああごめんA……！｣
｢腰が、……｣
｢ごめんほんとに！どうしよ……あ、歩けそう？｣
｢た、たぶん……多少は｣
ソファでなんかやったからだ。
完全に興奮していて、体勢まで気を使ってやれていなかった。
結局その日はもう一日丸休みし、過保護な程にAの世話をした。
.
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りこち(プロフ) - \( 'ω')/ｴﾝﾀﾞｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｲﾔｧｧｧｧｧｧｧｧ (2021年3月16日 13時) (
レス) id: 7094782543 (このIDを非表示/違反報告)
ひとほ(プロフ) - おわたああああああああぁぁぁ！ありがとうございました!!!!!!!!!これからもよろしくお願いします！（これからも見るので） (2021年3月6日 9時) (レス) id: 542167216b (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ただひたすらにときめきました！ああああああ2人が可愛すぎるううう (2020年8月25日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきい - んううああああああ！嬉しみいいい！！！！ (2017年11月5日 15時) (レス) id: f1013ba797 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 留さん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けてとても嬉しいです…！他作品、次回作でもぜひよろしくお願いします。ご愛読ありがとうございました！ (2017年11月4日 13時) (レス) id: 8114bfeb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影猫
| 作成日時：2017年8月27日 0時
