＃15 ページ16
「おい、A！」
のぶは私の肩を揺らし、名前を呼んだ。
『聞こえてるよ。それよりこれ、外してくれない？』
目隠しが取れると、いきなり眩しい光を浴びて目が眩んだ。
「白石、腕を上げろ」
『うん。』
シンちゃんの言う通りに、腕を上げると、手足の縄を切ってくれる。
「なんでここにAちゃんが？？千葉に行ってたんじゃないの？」
『あれ、私を助けに来てくれたのかと思った』
「ここら一帯のエリアストレスが上昇した」
『あぁ、それできたの』
私は服に着いた砂埃を払い、立ち上がる。
「すぐに、メンタルケアを」
『いいよ。それより、私調べたいことあるんだよね』
「しかし」
『秀、今この状況で、私の色相は曇ってる？』
秀がドミネーターを私に向けた。
「すげぇ、犯罪係数0……ほんとどうなってんの？？」
さぁ、私にもそれはわかんないや。
『ってことで、用が済んだなら帰ろう。』
帰ってすぐ、私は志恩のところにやってきた。
「Aちゃん、どうしたの？」
『調べて欲しいことがあるの。』
「頼み事なんて珍しいわね。
もっと可愛くオネダリしてくれたら、お姉さん頑張っちゃうかもよ？」
「志恩、Aが捕まってたことは知ってるはずでしょ。そんな呑気なこと言ってる場合じゃない」
弥生がそう言うと、志恩は何を調べて欲しいのか私に聞く。
『女性監視官連続殺人事件の、関係者』
「………4年前の事件の？どうして今更……」
『当時、私は刑事課二係所属で、その時の上司、今泉京香を殺されている。とても、惨い殺され方で。
その、犯人が今回私を拉致した人物かもしれない』
……絶対そうであるという確証は無い。
あの男が嘘をついている可能性も否定できない。
『関西方面で会社を経営している男は居ない？』
こんな、端的な情報じゃ何も分からないのは分かってる。
それでも私が必死になるのは……
せめてもの償いのつもりなのか。
はっ……笑わせてくれる。
彼女のことは今の今まで忘れていたというのに。
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作者名：うさぎZ x他1人 | 作成日時：2017年12月17日 0時
