【HQ!!】私は不運な人魚姫なのですか？【西谷夕】

何の御用ですか。 ページ7

「じゃあ〜、あそこだな。西谷の隣の席が空いてるから、そこでいいか？深海？」


『まぁ、そこしか空いてないしなぁ。。』


「っ、はい。」


にしのや、と呼ばれたであろうその男子は嬉しそうにはにかんでいる。


「もちろんいいっすよ、先生！ドンと来いっすよ！」


『うぇいキタ！…けど何話せばいいんだ!?』


「おまえに聞いてないぞ西谷。悪いな深海、あんな騒がしいヤツの隣なんかで。」


『また西谷は相変わらず…うるせぇな。』


「い、いえいえ！そんなことないです！」


そうですよ。だって私、人と深く関わろうとなんて思ってませんもん。地味な転校生でいいんです。


「そうかぁ？おい西谷。泣かせんなよ。」


『なら心配いらないか…？』


「なッ、泣かせるだなんて！そんなの漢(おとこ)じゃないっすよ！」


『泣かせるだなんて無理言うな！泣かせること自体難しいだろ！』


「あ〜、わかったわかった。」


『ほんとに悪いな、深海。頑張るんだ。』


クラスが笑いに包まれた。この人、きっとクラスのムードメーカーなんだろうな。


でも私には、関係ないか。


アッ、先生そんな心配しなくてもいいんですよ。どうせいつかその心配裏切るんでしょう？


私はその笑いの渦を切り裂くように今の雰囲気を無視し、堂々と教室の真ん中を突っ切って自分の席に着いた。


するといきなり聞こえてきた声。


「あ、のさぁ。名前、なんて言ったっけ…？ふ、深海さん。」


『やっべ、下の名前覚えてないや。。』


何が“やっべ”だ。別に上の名前でいいよ。


「ん？西谷くん、だっけ？私は深海Aよ。」


「おっ！そうだそうだ“A”だったな！いい名前じゃねぇか！わりいなわざわざ！あっ、俺“西谷(にしのや)夕(ゆう)”な!!みんなからは“ノヤ”とか“ノヤっさん”とかで呼ばれてるぜ!!まぁ、隣同士よろしくな!!なんでもわかんないことあったら聞けよ！な！


Aっ!!」


『これこそ真の漢ッ!!!!!!!!!!』


っああ"。すんごい勢いだったな。なんなの、元気吸い取られてるみたいな気分。ってかさっきから漢ってなんだ漢って。


でもそんなことよりも問題なのは…、もう下の名前で呼び捨てなんですか!?さすがに展開早すぎやしませんか!?


･･･、まぁそんな好奇心もいつまで続くのやら。


「うん。ありがとうね。西谷くん(・・・・)。」


適当に返しとけば問題ない。


笑ってた西谷くんの表情筋が少しぴくついた気がした。

うっとうしいなんてどうしても言えません。→←そんな簡単に死んでたまりますか。

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