【HQ!!】私は不運な人魚姫なのですか？【西谷夕】

もーいいかい？ ページ25

ちかちかと点滅する青信号。


渡ろうと思ってずっと待っていたのに、ぼーっとしていたせいでタイミングを逃した。


赤信号で止まっていた車の運転手さんが、不審な目でこちらをじっと見ていたことに気が付く。


あっ、私なに馬鹿げたことしてんだろ。


私ももう歳か、そんなふざけたことを口にして間抜けな自分にくすっと笑ってやった。


考えていた。


今日の朝の出来事を。


考えていた。


今日行くと約束したはずの２回目の男子バレー部の見学をすっぽかしたことを。


気が付けば、西谷くんと出会ってから２週間が経とうとしていた。


そりゃ私を好奇心の目だけで見ていられなくなるわな。


転校生というものは、いわば新品のクラスメイトだ。


だいたいの人間は新品に目が無い。


新しいものに出会って初めて抱く感情が『好奇心』だ。


けれど、時間が経てば話は変わる。


転校生だって、クラスの雰囲気になじんできてしまったら、中古品だ。


言い過ぎかもしれない。けど抱く感情の変化を表す言葉としては最適だ。


『好奇心』は持たれなくなる。


そのうち、自分たちとは違って少し目立つ中古品に『嫉妬心』が芽生えてくる。


特に女子。


女子にとって、学校生活というのは戦場そのものだ。


敵が増えれば、たちまち心の中では戦闘モード。


攻撃が、始まってしまうのだ。


なおさらマネージャーに勧誘された転校生だなんて。


女子の総攻撃じゃないか。


深海A、人生終了のお知らせ。


とりあえずまぁ、家に帰ろうじゃないか。


今の私には体温が必要だ。


西谷くんのことは忘れた方がいい。


その方が、身のためだ。


とにかく、寒いなぁ。


あったかいところに早く帰りたい。


信号が青に変わる。


私は冷え切った手をぎゅっと握りしめて、駆け足で横断歩道を渡った。





・・・・・・・・・

受験勉強と部活と生徒会の仕事に追われている月のころはさらなり。です。

お待たせいたしました。

本当、申し訳ないです。

ただいま体調を崩して欠席中のため、やっとこさ更新、てなわけです。

更新速度に呆れた読者様、いらっしゃることでしょう。

それでも温かい応援を続けてくだされば幸いです。

作者、精一杯頑張りますので。

どうか飽きずに最後までおつきあいよろしくお願いします。


2016/06/14 月のころはさらなり。

目を開けたらひとりぼっち。→←意地を張れる度胸がある奴こそ一匹狼にふさわしい、実際はどうなんでしょうか？

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