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出かける準備をして、お待たせしましたって登坂くんの前に立つと、うーんって言いながら私の周りを回って全身チェックされた。
『あのさ、これじゃなくて……』
ダメ出ししたあげく、勝手にクローゼット漁ってるし……
『こっちのが好き』
登坂くんが持ってきた上が黒で下が赤いチェックの切り替えタイプのマキシワンピース。
『これ、胸元開いてるから好きじゃないんだけど』
じゃあなんで買ったんだよって当たり前のツッコミ入れられて仕方なく着替えた。
『登坂くん、これでいい?』
『うん。可愛い。ていうかさ、そろそろやめない?』
え?
『な、なにを?』
『その、登坂くんっていうの。俺 広臣ね』
『知ってるよ?』
バカって頭を小突かれたんだけどさ、なんかねぇ恥ずかしいんだよね。
今までずーっと 登坂くんって呼んでたのに。
『ご飯食べに行きたい人ー?』
『はーい!』
元気にお返事したのに、広臣って呼ばなきゃ連れてかないって……
悪魔か!
お昼前に起きたよね?
何にも食べてないからお腹空いてんのにっ!
『ひ、ひ、広臣くん、ご飯食べたいです』
『ぎこちねぇー(笑)』
登坂くんじゃなくて、広臣くんは肩を揺らして笑いながら私の手を握った。
『頑張ったからご褒美ね』
そんな囁きとともに、軽く触れるだけのキスをくれた。
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年2月6日 9時