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むかしむかしのおはなし。
彼女の封じられた記憶。彼らが封じた物語___

「精市くんと桜見に行ってくる!!」
「まだ冷えますから、そんな薄着で出かけないでくださいお嬢様!」
中学三年生になったばかりのAを、幸村精市は進級祝いも兼ねて連れ出した。

「おわ〜〜キレ〜〜だねぇ」
「はは、Aはどの花を見てもキレイだね」
「う……語彙力がなくてごめん……」
「ううん、俺もキレイだと思うし」
精市はにこにこしながら、ゆるゆると波打つ髪を揺らした。

「ね、来年こうして桜が咲いたら、Aは俺のお嫁さんになるんだよ」
「え……」
急な切り出しに、彼女は絶句してしまった。彼は予想していた通りだ、とでも言うように優艶に笑んで、彼女を引き寄せる。

「どうしたの?分かっていなかった?もう、そこまで来てる」
「あ、……精市、くん……」
「きみはあと、12か月もしたら俺の手中におさまるんだよ。ねえ、どう思う?」

抑揚のない落ち着いた声で、ひたひたと責められる。あたりが、真っ暗になったような気がした。
「せ、いちくん……」
「うん?どうしたの、A」
「み、えない……どこ……」
「……かわいそうに、恐ろしいね……大丈夫、俺が、きみをたすけてあげるから……だから、俺だけにすがって、ね」
「せ、いちくん……?」
声しか聞こえない。
何も見えないし、触れない。虚空の中に放り込まれたみたいに………

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設定タグ:テニスの王子様 , 仁王雅治 , 幸村精市   
作品ジャンル:恋愛
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におー - 続き気になるッス!! (2020年10月9日 6時) (レス) id: 77a058bc3a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:百衣 | 作成日時:2020年10月8日 17時

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