宿命を背負し者達～second part2～【ハリーポッター】 (ページ12)

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第５６話『スノウホワイト』ページ12

久しぶりに来たその場所はすっかり冬化粧をして、美しい銀世界が広がっていた。去年のクリスマスはここでハリー達と雪合戦をして遊んで。今年は心なしかここも寂しそうに見えた。ザクザクと雪を踏んで、私は巨木の根本に腰を下ろし、雪を眺めた。

A『たまには一人でこうするのもいいかも。』

はらはらとふる雪をぼーっと眺める……。

ダンブルドア「こんなところにいたのか、A。」

A「………！！ダンブルドア先生。」

気付けば、そこにはダンブルドア先生がいた。ぼーっと雪を眺めていたせいで気付かなかった。ダンブルドア先生は少しいいかね、と私のそばに腰をおろした。いつも隣にいたのはエルリアだけだったので、私は妙にそわそわして落ちつくことが出来なかったけど、なんともないように振る舞った。

ダンブルドア「どうじゃ、ここしばらく傷が痛むことはなかったかの？」

A「ええ。ここしばらくは。ちゃんと先生の言いつけ通り、短剣も肌身離してません。」

ダンブルドア「よかろう。なにか異変を感じたらすぐにわしに知らせるのじゃ。」

ダンブルドア先生もミセス・ノリスやジャスティンを襲った犯人を捕まえたいんだろう。私はそう思って頷いた。

ダンブルドア「ところでAや。エルリアとは最近どうしておるのじゃ？」

A「え？！」

ダンブルドア「すまんの。ちょっとした好奇心じゃ。」

A「先生はエルリアが犯人だとお思いですか？」

ふと、私の脳裏にミセス・ノリスが石になったとき、フィルチが投げかけた言葉を思い出した。死喰い人の家に生まれたから、私の家と長い間争ってきたからという理由で差別されるエルリアの背中はいつも悲しげで闇に溶け込んでいる。ダンブルドア先生もそんなことを考えているのだろうか。エルリアが犯人だという証拠は何一つないのに。

ダンブルドア「なぜわしがMr.ウォーターを犯人だと思うのじゃ。」

A「いえ……。少し気になって……。」

ダンブルドア先生は私の心なんかお見通しだろう。あのキラキラした瞳を前に、嘘や言い訳のひとつもできない。ダンブルドア先生はクスクスと笑って言った。

ダンブルドア「君は本当に優しい子じゃよ、A。」

ダンブルドア先生は満足そうに立ち上がり、そのまま大広間へと向かっていった。もう夕食の時間が来ていたなんて気付かないくらい、あっというまに時間が過ぎていた。