検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:9,892 hit

56-2 【天才もどきは開花する。化物もどきは磨かれる。そして決着は着く。】 ページ9

タイムアウトが終わって、メンバーはまたコートに戻る。

終わってほしくなんかない。

ずっと、この試合を見続けていたい。

でも、そんなこと絶対に叶わない。

手に持っていたペンを握りしめ直したとき、花巻さんの渾身の力で上がったレシーブが大きく右に逸れた。

落ちれば終わり。

ぎりぎり繋いでカウンター決められても終わり。

ボールがコートに落ちればそれが最後で、それを覆すことなんてどんな人であっても不可能だ。

落ちるなとただ一心に祈る俺の視線の先にいた及川さんは、反対側の岩泉さんを指さした。


天才とは、天才もどきの才能が開花したときに総称して名付けられるものである。

では、及川さんのような天才になれなかった化物もどきはどうなのか。


『化物もどきは磨かれる。』

その才能が開花するのは、今日明日の話かもしれないし、何十年も先かもしれない。

開花する才能さえ、ないのかもしれない。

すると信じて突き進むことは、あやふやでわからないことだらけで、怖いけれど。

彼はその時のために、彼のすべてをかけてセンスを磨いてきたのだろう。

岩泉さんに向かって放たれたトスは美しい弧を描き、


ドンピシャ


けれど、そのスパイクが地に落ちることはなかった。

結局のところバレーとは、

『六人で強いほうが強い!』

スポーツなのである。

飛び出してきたチビくんに三枚ブロックがつく。

インハイと同じ隊形。でも、全員あの頃のままじゃない。

空中戦を制し、この試合を制したのは。

ピーッ!と笛を吹きながら主審が示した勝者は。

青葉城西高校ではなく、烏野高校だった。


今この瞬間。

この代で最期の試合が、幕を閉じた。

監督の、「よく戦った。」という言葉が、俺達の戦いの終わりを告げた。

57-1 【俺とマネ】→←56-1 【天才もどきは開花する。化物もどきは磨かれる。そして決着は着く。】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
116人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 男主 , 青城
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

千夜(プロフ) - ちゃらさん» ちゃらさん、ありがとうございます!そんなこと言っていただけてほんとに嬉しいです! (2018年3月27日 13時) (レス) id: da4d7a241b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃら - 面白いです!皆格好いいし、ストーリーが凄く好きです。 (2018年3月24日 22時) (レス) id: b7f29ff674 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:千夜 | 作成日時:2018年1月23日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。