姉 ページ7
家に帰ると私はいつもと違う変な気持ちを抱えながらベッドに沈みこんだ。なんなんだ、さっきの志遠の態度は? しかもブラが透けてたとかわざわざ報告する意味がわからない。
女らしさの欠けらも無いため息を枕に吐き出す。すると部屋に誰かが入ってきた。
「Aー?」
少し高めのハスキーな声。姉さんだ。
私はベッドに埋もれたまま「なに?」と返す。
「新作のワンピ一スの採寸手伝ってよ」
姉の凪沙は洒落っ気ゼロの私とは全く正反対の性格で、ファッションデザイナーの仕事をしている。
「えー……」
「あんたくらいの年頃の子の体型ってみんな同じじゃない? だからあんたに採寸頼むのが手っ取り早いの。さ、早くこっちきて」
「んーー……」
私は目を擦りながら姉の作業場である一階の部屋に向かった。
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「んーとウエストがこれくらいだし……ちょっと予算越えそうだけどいっかー、Aつぎは後ろ向いて」
「つかれたよ……」
「もうまたそんなこと言って! 大体あんたスタイルいいんだしもっとしゃきっとしなさい、お父さんに似て足も長いんだから」
さっきから私は作業場でくるくる回転してる。時々メジャーが私を縛る。
姉は真面目な表情で私の体型をはかる。ふと姉の後ろにあるデスクを見ると新作のデザイン画が十枚ほど貼られていた。
「今回のテーマは海なのよん、季節外れではあるけども」
「そうなんだ」
今日はやたらと海の話題を聞く。さっきの森永心美と志遠の会話とか、姉の新作のテーマのこととか。
私はまたさっきのことを思い出す。胸がなぜかじりじりと傷んだ。
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作者名:ゴリラ | 作成日時:2018年9月13日 23時