11話 ページ12
「私はあんたに嘘をつきたくない。だから一人前の男と話すつもりで話すよ。
聖祖トルガル帝の伝説は、正しい部分もあるだろうが、そうでない部分もあるだろう。
強い者と弱い者が伝えた伝説では、たいがい、弱い者の伝説の方がまげられるからね。」
「いやバルサ。たしかに、そういうこともあるけど、ヤクーのニュンガ・ロ・イムの伝説はそういうたぐいのものじゃない。聖祖トルガル帝がこの地にくる前からずっとつたわってきたものだからね。
それに、いまから百年前にも、ニュンガ・ロ・イムは卵をうんだというんだ。
そのとき卵をうみつけられたのは、ひいひいじいさんの友だちの息子だった。
ひいひいじいさんたちは必死にその子をまもったが、
まもりきれずに、その子は死んでしまったそうだ。」
「どうして?伝説が嘘だと知られないように帝から送られた人にやられたとか?」
フィアがたずねると、タンダは首をふった。
「くわしいことはよくわからないんだ。
ラルンガ〈卵食い〉にやられたっていうんだが、それがなんなのか。
トロガイはラルンガをナユグの生き物だと思っていたようだが。」
「やっぱりなんとかしてトロガイにあわなくちゃね。
それがむりならニュンガ・ロ・イムについてくわしいヤクーをさがすか。」
「うん。ヤシロ村にいる人が、一番くわしそうだから聞きに行ってくるよ。」
ニュンガ・ロ・イムの話が終わると、
バルサとタンダは軽口をたたきあいながら、ふたりはむかしのことをチャグムに話し、
チャグムはしだいに、母とわかれてきたさびしさが、すこしずつうすれていくのを感じた。
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サヤノ - 清少ナゴンさん» 初めまして、サヤノと申します、精霊の守り人シリーズが大好きです、故あって愛読しております、タンダ特製山菜鍋も美味しいくらい想像が膨らみます、よろしくお願いします。 (9月29日 11時) (レス) id: 8a917fb5a5 (このIDを非表示/違反報告)
真顔君 - 頑張って下さい! (2018年8月6日 15時) (レス) id: 121ee4e48d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゴンナゴン | 作成日時:2017年12月19日 19時