検索窓
今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:37,356 hit

スキ 4 ページ4

.


「善逸」


あっ言うの忘れてた、と
そう思った瞬間に彼の名前を呼んでしまった私。

呼んですぐ、後悔した。

私はパッと言葉を発するのが苦手で、どうしても吃ってしまうからだ。

だから急に相手に声をかけられる時なんかは特に酷くて、よくみんなに笑われていた。

喋る準備をしてからじゃないと、上手く喋れないのだ。



ん?とこちらを向いた善逸に、早く喋らなきゃと思い焦って口を開いた。



「あ、あっ、まっまだ!言ってなかった!から!

その、おつかえさま...!」


反射のように出た言葉は吃音のオンパレード。

やっぱりこうなる。おまけに噛んだ。


あまりに酷い喋り方で落ち込みそうになったけど、当の本人は嬉しそうに笑って、ありがとう!なんて言うもんだから、気にしなくていいのかなと思えてくる。

本当は分かってるんだ。

こんなふうに私に普通に接してくれる人は、世の中にほんのひと握りしかいないということ。

施設の人たちはみんな、決まって気まずそうな色や見下すような目をするから。


「Aー!!!俺様のお帰りだぞ!!!」


「Aただいま!ここでの生活にはもう慣れたか?」


「おっ、おかえりなさい。うんっ」


さらに続け様で二人から声をかけられて戸惑ったけれど、なんとかきちんとそれぞれに返事をする。

どちらかを無視したなんて思われたら大変だ。


猪頭の、私を子分の様に扱う人は伊之助。
態度が大きいし暴力的なので苦手意識があるけれど、彼も気さくに私に話しかけてくれる。
それに何故か、私の名前だけは言い間違えないらしい。
実はそれがすごく嬉しかったりする。


そして相変わらずキラキラした笑みで笑いかけてくれるのが、炭治郎。
良かった良かったって安心した表情で言ってくれる炭治郎は、気遣いができてほんとに優しい。


「良かった、無事で」


こうやってみんなが無事に帰ってきてくれて、とても安堵する。

みんなは鬼殺隊という隊員で、鬼を倒しているらしい。

特別な能力を使う強い鬼とも戦わなくちゃいけないみたいで、毎日心配で仕方ない。

でも世の中の役に立つ仕事をしていて、とても尊敬する。

だからこそ、なのかもしれないけれど。

みんなへの尊敬が大きくなればなるほど、
周りの色ばかり気にしてる臆病な私とは大違いだって、引け目を感じてしまうのだ。


いつか私も変われる時が、
みんなみたいに立派になれる日が来るのだろうか。


.

スキ 5→←スキ 3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (144 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
275人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あーちゃん - すごいいい話ですね(*´∀`)これからも頑張ってください。 (2020年6月10日 9時) (レス) id: 20ef85385a (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 花帆さん» 雰囲気や距離感は結構こだわっているつもりなので嬉しいです!!笑 満足して頂ける作品になるよう頑張ります! (2020年1月3日 20時) (レス) id: 8e770ef89c (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!炭治郎優しいし、かっこ良くて良いです(*´ω`*) 炭治郎と夢主さんのほんのり良い雰囲気、応援したくなります/// (2019年12月18日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 花帆さん» 炭治郎かっこいいですよね!!ありがとうございます´`* (2019年11月24日 17時) (レス) id: 8e770ef89c (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - らんさん» 多忙の為更新遅いですが、頑張って書いていこうと思います...!応援ありがとうございます! (2019年11月24日 17時) (レス) id: 8e770ef89c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:のの | 作成日時:2019年10月23日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。