歪みノ愛

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電車からホームに飛び出して、そのまま人の流れに乗って改札を出た。






ここのホームは異様に長い。








改札口からあふれてくる人の波が俺の眼の前でどっと散りみだれる。



波がしらのような顔の渦が、勢いよくこちらに向って殺到してくるような気がした。




















｢くっそ……。どこだよ、A……っ｣






















こんな事になるなら、あのとき声をかけていればよかった……。







少しの失墜感を覚えるも、俺は必死になってAを探していた。









流れてくる人集りの中でAを見過ごさないように、目を皿のようにして探す。













……正直、これでは見つかる気配がない。





















｢っ…それでも、絶対に見つけるから｣





















乾いた咽喉に貼りついた声を引き剥がすように呟く。













胸の中から最後の空気を吐き出すように、







そう、自分に言い聞かせた。











































──────そのとき、










































｢A、さっきからなに探してるんだよ？｣


｢っなんでもありません……。｣





















後ろから来る、聞き覚えのある声が、俺の耳の底に残る。














陽照りで乾いた大地が雨に吸いこむように、その声が俺の胸にヒタヒタとしみこんだ。






















ゆっくりと後ろへふり返る自分のイメージが頭に浮かぶ。












ドラマや映画でよくある、女優の顔が先に振り返って一瞬遅れてから長い髪が顔に追いつく、






例のあのスローモーションだ。


















雷に打たれたような気になり、


思わず声のする方へ髪を振って顔を向けると。






































そこには、俺の大好きな親友と──────






















─────愛する人が、そこにいた。






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