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目が覚めた時、列車はトンネルに入ったところだった。
その時、窓は俺の鏡となった。
鏡がすうっと消え、そのかわりに
芝生の、目を背けたくなるような濃い緑の照り返しが俺の目の前に拡がってきたのがわかると
知らぬ間に自分が寝ていた事に気づいた。
｢ん………あぁ、寝ちゃってた｣
列車の窓から流れて行く景色が、電柱で句読を打ちながら、ぼやける目の前で閉じたり開いたりする。
吹き飛ばされるかのように後ろへ通り過ぎていく田端を目で追いながら、
俺は終始ぼうっとしていた。
そんな俺の座る前には、雑誌とパンと、冷えたコーヒー。
そして、通り掛かった乗客が落した
四つ折りにされた紙が映っていた。
先ほど声をかけ損ねてしまったので、これの持ち主が戻ってきた時に渡そうと思ったのだが
………もしかしたら、俺が寝てしまっていた間に通り過ぎていったのかもしれない。
終点を伝える機械音が聞こえると、その考えはますます濃くなった。
｢ちゃんと起きとけばよかった……｣
そしたら、逃すことは無かったのに
心苦しく思いながらも立ち上がり、俺は荷物棚からバッグを引っ張り出した。
パンとコーヒーはレジ袋に入れて、雑誌はバッグにしまった。
｢この紙、どうしよ……｣
荷物を整え終わると、背面テーブルに一つ残された紙に目を落とす。
俺にはただの紙切れにしか見えないが、持ち主にとってはとても大事な物かもしれない。
｢だとしたら困ってるよね……｣
悪事でも働いたように胸が痛くなってくる。
そんな胸の痛みさえも圧し殺すように、今度は、紙の中を覗きたいという欲望に駆られてくる始末。
人は“大事な物”だと考えると、その部分に触れたくなるものだ。
｢とは言っても、やっぱり勝手には見ちゃダメだよね……………いや、でも……んー………｣
きっと今の俺の表情は、好奇心と憂鬱のあいだを行き来しているだろう。
電車はいよいよ停車を迎え、減速していく。
それに連れて周りの乗客も疎らに立ちだした。
それに釣られてか、その場の勢いか、
俺は引力に抗する思いで、手に取った紙を開いてしまった。
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★滝野みかちょ★KーPOP愛してるよん★ - この作品が面白くてなんかいも見ちゃうです！ (2019年3月30日 21時) (
レス) id: a62675aae7 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - (名前)さん» (名前)さん、コメントありがとうございます。すごい好きだなんて言われて、嬉しい限りです…。これからも頑張りますので、ヨロシクお願いします:-) (2016年10月28日 19時) (レス) id: d5d017206e (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 良いところで続編！！もうすごい好きです。頑張ってください！更新ファイティン！！ (2016年10月28日 18時) (レス) id: 9fe512cdf1 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - はるかさん» 閲覧、コメントありがとうございます。続編の方も楽しんで頂けると幸いです…！:-) (2016年10月23日 20時) (レス) id: 50a7649c25 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - きゃーーー！！！！ (2016年10月23日 19時) (レス) id: dc74fb0050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日向
| 作成日時：2016年7月6日 2時
