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バタリ、と
重々しい扉が閉まる音がした。
閉じていた目をそっと開け、ジミンさんが居ないことを確認する。
「テヒョンさんとジョングクくんが…………心配して、くれてたんだ………」
ひっそりと呟いたその言葉は私の心に深く浸透し、波紋のように広がる。
その事実だけで、気を抜くと鼻水が垂れて、頬が緩み、涙が溢れそうになる。
嬉しかった。
私を心配してくれていたこと、
覚えてくれていたこと。
彼らが、私を必要としてくれたこと。
嬉しかった。
同時に、想像したこともないくらい苦しかった。
鳴り止まない、みんなの声。
次々に浮かび上がる、みんなの笑顔。
今もそこにあるように、今もそこにいるように思い出す。
どんなに泣いても、どんなに叫んでも、
もう届かない。
こんなに伝えたいのに、辛いこと、苦しいこと、助けて欲しいこと。
必要とされて、嬉しかったこと。
その一言が言えないことに、苦しくて、
とめどなく涙が流れた。
ここに来て、二年が経った。
最初の頃はずっと思っていたこと
だけど時が経つに連れ、押し殺していたこと。
ここから逃げたい。
誰かに、助けてほしい。
自分の意思が明確になったの時、
私は声を殺し、一人泣き続けていた───……
.
.
.
.
その日の夜、私はユメを見た。
鎖で繋がれた私に手を伸ばし、この暗闇から救い出してくれるユメ。
それが誰なのかはわからなかったけれど、
きっとその人は、私の近くに居るんだと信じている。
そんなユメを見れただけで、私は満たされた気分だった。
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★滝野みかちょ★KーPOP愛してるよん★ - この作品が面白くてなんかいも見ちゃうです! (2019年3月30日 21時) (レス) id: a62675aae7 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - (名前)さん» (名前)さん、コメントありがとうございます。すごい好きだなんて言われて、嬉しい限りです…。これからも頑張りますので、ヨロシクお願いします:-) (2016年10月28日 19時) (レス) id: d5d017206e (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 良いところで続編!!もうすごい好きです。頑張ってください!更新ファイティン!! (2016年10月28日 18時) (レス) id: 9fe512cdf1 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - はるかさん» 閲覧、コメントありがとうございます。続編の方も楽しんで頂けると幸いです…!:-) (2016年10月23日 20時) (レス) id: 50a7649c25 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - きゃーーー!!!! (2016年10月23日 19時) (レス) id: dc74fb0050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2016年7月6日 2時