第8話 鈍感 ページ9
「…難儀じゃのぅ」
「はい? いきなりなんですか?
太宰が幹部になった翌日。
抗争の生存者から拷問で情報を聞き出した後に、休憩と称した二人だけの茶会の最中、直属の上司が発した言葉だ。
「中也が、お主を『綺麗』と云ったのは、月ではないわ」
「てっきり、そうだと思ったので。違うのか…」
返答しながら、『何に対して綺麗だと云ったのか』。その一点だけが、疑問符として脳内をぐるぐると巡っていく。
「A。『月が綺麗』には、別の意味もあると、
「はい。『あなたが好きです』でしたよね?
「憶えておるなら、それで善いわ。ところで、去年手渡した香り付きの口紅を塗った、周囲の反応は
「それでしたら、一人だけ。中也の視線が、唇の方に向いていました。…それが、何か?」
今度は、姐様だけでなく、後ろに控える部下も、黒い
「
「…そうですか」
個人的に、紅茶全般味が独特なので好みではないが、姐様のお勧めの茶葉とあらば、理由をつけて断る訳にはいかず、再び口に運ぶ。
「ところで、中也の事は如何思うえ? この際じゃ。全て話せ」
「如何、と言われましても…。…列挙するなら、見目。声。立ち振舞い。兄貴肌の性格。ファッションセンスを含めた格好良さは、昔から一切変わってませんし、あとは…、
口止めする必要もないので、そのまま茶菓子を
「一応訊く。恋愛感情は?」
「皆無です」
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作者名:竜胆 | 作成日時:2019年7月10日 1時