第74話 報告 ページ27
「
「ええ。無事に成立しましたよ」
あたしは、若様の報告より、アルビス様の着こなしに目がいってしまう。胸元がはだけてはしたないと思うのは、育った環境が影響しているのだろうか。
「
「そうか。トラブルが無くて良かったよ。報告では、気位の高い種族だと聞いていたからさ」
しかし、彼の視線が泳いでいることや、言い淀んでいること。アルビス様のあからさまな視線の反らし方などで、若様の異変を察知した。
その夜。
なぜか、居酒屋に部外者の自分も同席する事になり、ここは大人しく若様の話に耳を傾ける。
「実は、個人的に面倒な事になりまして……」
若様は、あたしの策で、トンネルの話をしないまま話を進めて了承を得たが、
この情報には開いた口が塞がらず、しばし呆気にとられる。
「若様の返事は、どのようなものですか？」
「……。そう簡単に
報告を聞いて安堵する自分がいて、やっぱりあたしは若様に惚れているのだ、と再確認する事になった。
そこで若様は一息ついて酒を流しこみ、リムル様より奥に座っている自分に視線を合わせられる。
「ありがとう、A。山を誇りにしている種族だと教えてくれたから、事が上手くいった。もし、情報がなかったら、俺はトンネルの件を話して、相手方の機嫌を損ねただろう」
「いえ。私は、若様に案を提示しただけでございます」
「俺達にとっては、街道を通すだけのただの山に見えるが、彼らにとっては誇りだ。自分の誇りを傷つけたら、誰だって怒る。Aは、大事な事に気付かせてくれたんだ」
「……光栄です」
若様のお褒めの言葉に、ありきたりな言葉しか出なくて、それが嫌になる。
ちらりと横目で彼を見ると、上機嫌でお通しのやみつきキャベツを頂いていた。そこで、自分も腹を満たすためにそれに箸をつけ、胃に少し食べ物を入れて、観察眼を発揮して尋ねてみる。
「まだ何か言いたそうですね」
「あー……。さっき話したモミジ殿が、爺の娘らしい」
彼が爺と言えば、それは当然ハクロウ殿の事を差している。しかし、上手く繋げるために時間を要した。
「ハクロウ殿が、よそで子供を作ってたって事ですか……？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 341人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
竜胆(プロフ) - 葉月さん、ありがとうございます。ようやく三竦みの戦いになりましたので、楽しみにして下さい。更新頑張ります。 (2023年5月4日 17時) (
レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
葉月 - いつも楽しく読ませていただいています！これからも応援してます更新がんばってください (2023年5月3日 23時) (レス) id: 63cb68265f (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 栞を挟んで下さった方が、300人を越えました。更新頑張りますので、よろしくお願いします。 (2023年1月4日 8時) (レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - いつの間にか百票突破！ 皆さん、ありがとうございます。 (2021年9月9日 1時) (レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 気がついたら、お気に入りにして下さる方が200人越え。ありがとうございます！ (2021年3月27日 15時) (レス) id: 51177a25d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：竜胆 | 作成日時：2019年5月13日 23時
