第70話 高祖母の夢 ページ23
「じゃあ、堅苦しい話は一旦おいといて、互いの健闘を称えあって、乾杯！」
『乾杯!!』
入浴後、万が一の際には避難所も兼ねている出来立ての宴会場に、ヒナタ殿ご一行をご案内し、並べられた座椅子に着席後、眼前の膳の食事を一時的に我慢する。
乾杯を前にヒナタ殿の謝罪がリムル様に対して行われたが、『ガウンのようなものだろう』と言ってヒナタ殿の浴衣を着崩すルミナス様の愚行を頑としてやめさせ、谷間が見えるほど露出させるのは破廉恥だと言い、ルミナス様の女色の疑いが濃厚になった。故に、嫌悪する魔王の一人と見なし、内心距離を取る。そういう嗜好の方がいるのは噂程度で伝え聞いているし、存在を認めるものの、決して容認できないのである。
他の者達は天麩羅や刺身を食べながら
箸の使い方を他種族に教えつつ、ある程度腹を満たした頃、シオンや若様など我ら魔物に対して、聖騎士団一行は揃って頭を下げ、謝罪の言葉の数々を口にした。それは、リムル様による会話によって引き出されたものだ。
「──人間全てが、魔物の敵ってわけじゃないんだよ。悪い奴もいれば、良い奴もいる。魔物と一緒で、それだけの話なんだ。それに、人間は間違いを正せる生き物だ。俺達だってそうだろ？」
リムル様は『魂の
「あなた方にも謝罪を。今後は、魔物だからと敵対視しないと約束するわ」
彼女達の謝罪をリグルド殿が代表して受け入れ、若様の言い分を黙って聞いている。
「俺としては、あなたが敵に回らぬだけで十分だ。リムル様との戦いを見ていたが、今の俺でも勝てそうにないからな」
味方は多いほうが良い。
それも、自分の非を認められる方は大歓迎だ。
「良かったな、A。高祖母殿の夢が叶って」
「ええ。これから楽しみです」
若様の言葉に、人間と魔物の共存を夢見た、人間の高祖母・紬さんを思い出して微笑みが零れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 341人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
竜胆(プロフ) - 葉月さん、ありがとうございます。ようやく三竦みの戦いになりましたので、楽しみにして下さい。更新頑張ります。 (2023年5月4日 17時) (
レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
葉月 - いつも楽しく読ませていただいています！これからも応援してます更新がんばってください (2023年5月3日 23時) (レス) id: 63cb68265f (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 栞を挟んで下さった方が、300人を越えました。更新頑張りますので、よろしくお願いします。 (2023年1月4日 8時) (レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - いつの間にか百票突破！ 皆さん、ありがとうございます。 (2021年9月9日 1時) (レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 気がついたら、お気に入りにして下さる方が200人越え。ありがとうございます！ (2021年3月27日 15時) (レス) id: 51177a25d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：竜胆 | 作成日時：2019年5月13日 23時
