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第60話 魔王宣言 ページ13

「さて、諸君。今後の事を語る前に、言っておきたい事がある。俺は、名実共に魔王になることにした」

 シュークリームを食べたリムル様の邸宅で、我が主が宣言した。そこには、新参者のディアブロも参列している。
 すると、姫様とシオンが互いに顔を見合せ、黒い一本角の鬼が数歩近づき、膝に手を当てて少しでもリムル様に視線を近づけてから、『もうなってますよね?』と問いかけた。

「いや。『真なる魔王』とやらにはなったんだけどさ。外に向けて宣言してないだろう?」
「外に宣言。つまり、十大魔王に名乗りを上げる、ということですかな」
「そう、それ!」

 ハクロウ殿の解説に、リムル様が嬉々として肯定される。

「理由を伺っても?」

 若様の問いに対して、主は一拍の間をおいて返答されたが、あたしはその刹那(せつな)に魔王クレイマン絡みだろうと推測した結果、それが的中した。

「ちょっと喧嘩(けんか)を売りたい魔王がいてな」

 それは(もっと)もな理由だった。
 連合軍襲撃の際に、ミュウランを操って被害の拡大を目論んだ上、ミリム様を使い、友好国ユーラザニアを滅亡させているからだ。

「俺は、魔王クレイマンを叩く。異論はあるか?」

 全員異論がない事を確認後、彼は、忍でもあり、あたしの従兄(いとこ)でもあるソウエイに命じた。『クレイマンの情報を集めてこい』と。そして、本格的な会議は諜報部の調査後として各自解散したが、若様ご自身は、邸宅を離れずに家臣である自分に話しかけられた。

「A。さっきは安堵していたな」
「ええ。リムル様が魔王クレイマンを倒せば、ミュウランの悩みの種が完全になくなりますから」

 それは、あたし達にとって喜ばしいはずなのに、ミュウランに対して『(うらや)ましい』と感じたとは確かだ。

 あたしは、人を羨む者だっただろうか?

 だが、その自問をしている事すら若様には筒抜けだったらしい。

「大丈夫だ。じきにAの悩みもなくなる」
「……はい」

 微笑みを彼に返し、胸が締めつけられる感覚を無視した。


「いいですか? 秘書とは、いつ、いかなる時も主のためにあるべきです」

 ディアブロ殿に秘書のなんたるかをシオンが教えていたが、姫様に用事を思い出させるあたり抜けている部分がある。

「では、続きはあたしが説明しよう。よろしくお願いする。ディアブロ殿」
「はい。よろしくお願いします」

 今は、目の前の仕事を片付けよう。

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設定タグ:転生したらスライムだった件 , イケメン女子 , ベニマル   
作品ジャンル:恋愛
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竜胆(プロフ) - 葉月さん、ありがとうございます。ようやく三竦みの戦いになりましたので、楽しみにして下さい。更新頑張ります。 (2023年5月4日 17時) (レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
葉月 - いつも楽しく読ませていただいています!これからも応援してます更新がんばってください (2023年5月3日 23時) (レス) id: 63cb68265f (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 栞を挟んで下さった方が、300人を越えました。更新頑張りますので、よろしくお願いします。 (2023年1月4日 8時) (レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - いつの間にか百票突破! 皆さん、ありがとうございます。 (2021年9月9日 1時) (レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 気がついたら、お気に入りにして下さる方が200人越え。ありがとうございます! (2021年3月27日 15時) (レス) id: 51177a25d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竜胆 | 作成日時:2019年5月13日 23時

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