第２話 茶番 ページ4
「やぁ！ ウルフ大佐。よく来たね」
「…どちら様ですか？」
受付で待っていると、出勤直後の彼と鉢合わせしたばかりか、陽気な口ぶりで話しかけられた。その変貌に、思わず聞き返してしまうが、同時にそれが
「戦友の顔を忘れるとは
「冗談です。覚えてますよ。マスタング大佐」
「そうか。では、今度は土産話ついでに、私に顔を見せたまえ」
あの内乱以来、久しぶりに顔を合わせたが、この距離の詰め寄り方に不慣れで戸惑う。
「本音は？」
「君をデートに誘いたい」
「却下です」
「少しは考える素振りくらいしたらどうだ？」
「そうですね。次回から善処します」
本当に誘うべき女性は、貴方の隣に居るのに鈍感な
「どうしても、あたしを誘いたいと
「A。おはよう」
「おはよう、リザ。出勤早々悪いけど、鞄を持ったままでいいから、ちょっと茶番に付き合ってくれる？」
「…何をするの？」
ショルダーバッグを肩に提げた彼の副官の前を通り過ぎて、先に椅子に座り、自分の膝の上に横向きに座るよう指示した。
「首に腕を回して、しっかり掴まってほしい」
「こう、かしら？」
「そう。では、失礼」
「っ!?」
膝裏と背中に腕を回して、女性一人を軽々と抱えてみせる。俗に言う『お姫様抱っこ』だ。
「マスタング大佐。執務室に着くまでに、リザを取り返してみなさい。それが条件です」
「……は？」
あたしが駆け出したのを見て、一拍遅れて、背後から『待てェッ！』と焦った声音で追いかけてくる。
「リザ。ナビゲーション頼む」
「廊下は走っちゃ駄目よ」
「そんな事言ったら、あたしが賭けに負ける。それに、たまには羽目を外したいんだ」
「外す順番が違うと思うけど…」
階段で失速したが、廊下で大きく距離を引き離して、無事に執務室前へ到着。眼前で扉が開き、火の着いていない煙草を手にした少尉と遭遇した。
「おはようございます。リザ・ホークアイ中尉をお届けに参りました」
「え!? あ。はい」
呆気に取られている垂れ目の少尉を前に、同期をゆっくりと床に降ろし、あたしは片膝をついたまま、彼女を見ずに、頭を垂れたまま芝居がかった口調で謝罪する。
「揺れの大きい車で申し訳ありません。姫様」
「今度は、彼がいない時にやってちょうだい」
「御意」
肩で息をする彼が遅れて来て、下らない茶番が終わった。
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竜胆(プロフ) - お気に入りに入れて下さる方が、100人になりました。皆様、ありがとうございます。更新できるよう、頑張ります。 (2月11日 19時) (
レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
EMIKO(プロフ) - わかりました!!やってみます!!アドバイスありがとうございます!! (2019年8月4日 15時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)
更新頑張ってください - 多分以下の方法でできると思われるのですが試したことは無いので違ったらすみません (2019年8月4日 0時) (レス) id: e40e430b96 (このIDを非表示/違反報告)
ずっと読んでまして。お節介かもですが - EMIKOさん、占ツクに投稿しようとしているのはスマホからですか? パソコンからなら上手くいくかもしれません。それでダメならEMIKOさんがTwitterであげた絵のURLを竜胆さんに教えて、竜胆さんが占ツクからアップロードするという手もあるかもしれません。 (2019年8月4日 0時) (レス) id: e40e430b96 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - EMIKOさん» あと、私が知っているのはピクシブくらいですね。あまりアドバイス出来なくて、ごめんなさい。 (2019年8月4日 0時) (レス) id: ce36bc58b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竜胆 | 作成日時：2019年3月27日 0時
