第10話 異端 ページ12
「……」
エドに国土錬成陣の話をした後、のどかな風景を目にしながら、一緒に洗濯物を片しているウィンリィの母の姿を見ていた。
本来なら、ウィンリィのご両親は、イシュヴァール戦で帰らぬ人になっているが、生還している。
日本からアエルゴ経由でアメストリスに入国する船旅の最中、ずっと違和感はあった。
あたしは、誰かを探している。
あたしは、この国の未来を知っている。
あたしは、全員ではないが、誰が、どこで、どうやって亡くなるのか知っている。
だけど、その知識をどうやって得たのかは思い出せない。探し人の顔も、名前も、声も知らない。
全て気味が悪いのに、心の中にいるもう一人の自分は、次は何が起こるかと興奮し、イベントのように待ち侘びている。それは、幼い子供の思考と行動力を持っているから、もう厄介でしかない。
「Aさん。知ってる？ イシュヴァールに現れた『黒い幽霊犬』の噂」
「うん。イシュヴァール人に味方して、国家錬成術師を含む軍人達の喉笛を噛み殺して回る狂犬。イシュヴァール人にとっては、間違いなく忠犬だね」
軍と彼らの間には、共通の噂がある。
あの戦が勃発するきっかけになった将校の前に、黒い犬がどこからか颯爽と現れ、少女を守るように低い唸り声を上げて立ち向かったが、少女共々凶弾に倒れた。
２年後の1903年。
突如として、イシュヴァール人１人につき１匹。幽霊のようについて回り、影のように護り、主が死ぬと攻撃を加えた者の喉笛を食い千切るまで離れないという執念を見せ、軍人は戦々恐々としていた。幽霊の名の如く、あらゆる攻撃が通じないので、上層部と兵士達は頭を抱え、帰還兵の中には、故郷でただの黒い犬の姿や噂を見聞きしただけで震え上がっていたらしい。
それは、『最悪の未来』にならないため。被害を回避するか最小限にするために、軍上層部と人の皮を被った化け者に悟られないように行動し、イシュヴァールの戦場を駆けた。
(邪魔者が減って、良い気分でしょう？)
ある夜。
あの戦場で幽霊犬に遭い、彼女が告げた事により直感で解った。
その正体は、異端。
理に組みこまれて呑まれないように、意図的に父から教えられた影分身の術で切り離した、自分の記憶と意識。思考と常識。理と影の断片。
つまり、今ここで行動しているあたしも、蒼い瞳を持つ黒い幽霊犬も、文字通りこの世界の住人ではなく、異世界から誰かを探すために夢渡りの要領で来た存在だった。
続く (更新停止中)
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竜胆(プロフ) - お気に入りに入れて下さる方が、100人になりました。皆様、ありがとうございます。更新できるよう、頑張ります。 (2月11日 19時) (
レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
EMIKO(プロフ) - わかりました!!やってみます!!アドバイスありがとうございます!! (2019年8月4日 15時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)
更新頑張ってください - 多分以下の方法でできると思われるのですが試したことは無いので違ったらすみません (2019年8月4日 0時) (レス) id: e40e430b96 (このIDを非表示/違反報告)
ずっと読んでまして。お節介かもですが - EMIKOさん、占ツクに投稿しようとしているのはスマホからですか? パソコンからなら上手くいくかもしれません。それでダメならEMIKOさんがTwitterであげた絵のURLを竜胆さんに教えて、竜胆さんが占ツクからアップロードするという手もあるかもしれません。 (2019年8月4日 0時) (レス) id: e40e430b96 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - EMIKOさん» あと、私が知っているのはピクシブくらいですね。あまりアドバイス出来なくて、ごめんなさい。 (2019年8月4日 0時) (レス) id: ce36bc58b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竜胆 | 作成日時：2019年3月27日 0時
