北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ34)

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83話ページ34

僕とアシㇼパさんはお湯を沸かして待機

白石「もうダメだ！アシㇼパちゃん！Aちゃん！お湯おねがい！」

そういって川からあがってくる白石の手は真っ赤だ

『水が冷たそうだな』

白石「冷たすぎて指が取れちゃうよ」

平太「あ！またあいつだ…同じヒグマだ…」

『ヒグマ？』

僕は小銃を手にする

平太「隠れてしまった…どんどん近づいてきてる…昨日はもっと遠くにいたのに…あれはウェンカムイだ」

アシ「…」

その後杉元とアシㇼパさんが痕跡を探しに行ったが見つからなかったらしい

ウェンカムイという言葉を知っていると言うことはアイヌと親交があったのかな

アシ「その煙草入れ、アイヌのものだな」

平太「ああこれ、昔アイヌの方達と砂金を採ってたこともありましてね、仲良くなっていただいたんです」

アシ「そうか、だからウェンカムイという言葉を」

平太「子供の頃にアイヌからウェンカムイの話を聞かされて、それが本当に恐ろしくて…眠れませんでしたよ。怖くて怖くて怖くてね〜毎晩おねしょです！」

白石「平太少年かわいそう…」

平太「怖くて怖くて怖くてコワクテ…」

杉元「俺らもウェンカムイの話は聞いてるぜ」

アシ「どんどん近づいているといったな？その熊は何日前から近くをうろついてる？」

平太「もう何年もです」

アシ「え？」

『どういうことだ？』

アシ「……」

平太と呼ばれた男は森の奥へ消えて行った

何か変な空気を漂わせながら

杉元と白石が川を掘り続ける

杉元「あれ？オイ平太師匠は？」

『一人でどっか行ったよ』

杉元「危ねえだろ人喰いヒグマがいるかもしれねえのに」

白石「アシㇼパちゃん平太師匠がいなくなった！探して見張ってて！！あいつが熊に食われたら俺らの砂金ほりが台無しなんだから！」

アシ「本当に熊がいるんならな」

『……』

アシㇼパさんや杉元が見ても、痕跡が残っていなかったのなら、本当にヒグマがいたのか疑わしくなってくる

あの平太って男

表では砂金採りの情報を流したが、裏で我々をヒグマの餌食にしようとしているのか、囮のために側に置かれているのか

その割には平太自身、我々の側にいない

わからないが、ここは様子を見るしかなさそうだ

アシㇼパさんが平太を探しに森へ消えて行った

白石「おい杉元、あれ…」

杉元「アシㇼパさん！A！あっちにヒグマいた！俺たちも見たよ！」

『！？』

本当にヒグマがいたのか

僕たちは急いで様子を見に行った