北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ29)

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78話ページ29

『どうだ、逃げ切れそうか』

杉元「追いつかれるのも時間の問題だ」

アシ「よし！白石来い！」

白石「なに？」

アシ「白い布を集めるぞ！」

アシㇼパさんと白石が白い布を持って帰ってきた

アシ「これをかぶれ！逃げるぞ！」

『これを被って流氷の上を歩いて逃げるんだな』

流氷の上を歩いていく

双眼鏡で後ろを見ると船の煙が離れていった

『追って来なそうだ』

白石「こっちには狙撃手が二人いるからな」

杉元「この時期はあっちの海岸まで流氷が続いてるらしい」

白石「なんかホッとしたらお腹空いたね」

アシ「トッカリなら氷の上で寝てるかもしれない…探せ杉元」

白石「魚でいいんだけどな…おや？なんかちっこいのがいっぱい泳いでる！なんか可愛い！」

氷の穴のあいた部分に小さいのが泳いでる

『…クリオネ？』

杉元「雑誌で見たことある！流氷の天使って書かれてた！ハダカカメガイともいって貝殻のない貝の仲間なんだって！」

白石「じゃあナメクジの仲間じゃん！」

『クリオネは食えないのか？アイヌも食わない？』

アシ「私たちはこの生き物を食べないからアイヌ語の名前もない！」

杉元「食べない生き物は名前もつけてもらえないのね」

白石「可愛いんだからつけてあげて〜？」

うふふ、あはは、と流氷のかけらに乗り込み船のようにして進む

『なるべく急がないと、稚内で待ち伏せされるかもしれない』

杉元「ああ、出来るだけ遠回りして裏をかかないと」

杉元と白石が何か話してる

僕はこいつと、同じ狙撃手として仲を深めておこうか

『頭巾ちゃんは尾形さんを殺すために一緒にいるのか？』

頭巾「？」

『あー…日本語わかんないんだっけ…えーっと… Какова цель？(目的は何？)』

カサカサと胸元から一枚の絵を出す

尾形さんの絵だ

手のひらにその絵を置いて、もう片方の手で
その絵を殴った

『僕も…一緒だ』

頭巾ちゃんの手のひらに置かれた尾形さんの絵を

僕も拳で殴った

頭巾ちゃんの目がキラキラ光り

僕に握手を求めてきた

『よろしく…』

握手をした

頭巾「フンフン」

何を言ってるかわからないけど…

白石「うおわあああ！！ゴボゴッ！！」

『白石！？』

アシ「ええー！！」

白石がシロクマに襲われてる！！！

体半分を水につけて

杉元「いつのまにこんなちかくまで！全然気づかなかった！」

白石「づめだい！」

アシ「よかった無事か？おい白石」

『鼻からクリオネ！』