27話 双子（アニーside） ページ28
「言われなくても出ていってやる」
と私は捨て台詞を吐いて去った。アンは腕に火傷をして私は足に火傷をしたけど不思議と心は軽かった。きっと、あの男爵の手から離れたからだ。そして私達は遠縁であるクラエス家にメイドとして働くことになった。
そして私達は出会ったのだ。カタリナ様とA様に。カタリナ様は甘やかされており我儘で傲慢なお方でA様はそれを反面教師にしていて子供でありながら我儘一つすら言わずに何処か機械的だった。
そんな正反対の双子に最初は戸惑った。A様を見るとアンを重ねてしまうからだ。だけど三日もすればもう慣れる。前の生活よりここで暮らした方がいい。働くのもそこまで苦でもないし。
だけどある日を境にカタリナ様は大きく変わった。額に傷を付けたあの日から。変わりすぎて別人が入ってきた？と疑うほどには。
そしてその日から……アンは変わっていった。自分の意思で自分の言葉で話すようになった。あの日の驚きは昨日のことのように覚えている。そしてそれはA様まで巻き込んでいく。最初こそ鬱陶しいと言った顔をしていたA様も今となってはカタリナ様のことが大好きになっている。だけど、本人は絶対に認めてないし、一生認める気はなさそうだけど。
そしてこんなことを言っている私もカタリナ様に救われた。あの頃の私はとても『メイド』とは呼べない程に未熟だったのに。カタリナ様が私のことを受け入れてくれたから。だからここまで頑張れた。そして一生ここで暮らしていたいとそう思った。一生カタリナ様とA様のお世話をしていたいと、思ったある日のことだ。
『お前らの婚礼が決まった。迎えに行くから準備をしておけ』と短い手紙が来た。差出人は男爵だ。折角、ここの暮らしにも慣れたというのに。また逆戻りするだなんて絶対に嫌だ。
「お前らのような傷物でも引き取っても構わないという奇特な相手を見つけてやったのだ」
余計なお世話だ。私が口を開こうとすると扉が開いた。そこにいたのは…
「アンとアニーのお父様ですよね？私カタリナ・クラエスと申します。お願いです。どうか二人の結婚を考え直してください！」
「私からもお願いします」
そんな言葉に私はまたばきを繰り返した。こんなことになるなんて思わなかったからだ。
「姉様はこの二人がいなくなると困るんです。そして私も……」
「ええ！そうよ！まずアニーとアンは私達のことをちゃんと見てくれています！」
28話 大切だから（アニーside）→←26話 2人のメイド（アニーside）
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かんな(プロフ) - moekaさん» コメントありがとうございます。返答が遅くなってすみません (2023年2月9日 5時) (
レス) id: 7fdba7923c (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新がして下さると嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年3月11日 15時) (レス) id: e6820645c8 (このIDを非表示/違反報告)
花宮(プロフ) - 花音さん» お待たせしてすみません……！そしてコメントありがとうございます！勿論、夢主も幸せになりますよ！ (2021年9月18日 16時) (レス) id: 7fdba7923c (このIDを非表示/違反報告)
花音 - 花宮さんお久しぶりです( ≧∀≦)ノ夢主ちゃんもどうか幸せになって欲しいです(ToT)読んでいても凄く辛いです(ToT) (2021年9月17日 2時) (レス) id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
花宮(プロフ) - レーニャンさん» コメントありがとうございます！返信遅れてすみません！ (2021年2月25日 16時) (レス) id: 7fdba7923c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花宮 x他1人 | 作成日時：2020年12月3日 23時
