【HQ】絶対的エースを崇敬しています【白鳥沢】 (ページ9)

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あのとき①-2 ページ9

オレンジ髪くんの目つきが変わった
ちょっと怖いかも、なんて考えていたその時

｢すまん取ってくれー！｣

体育館からボールが飛んでくる

牛島さんがジャンプしてそのボールを取ろうとする

『(素早い反射神経もふくらはぎの筋肉も素敵すぎる)』

なんて能天気なことを考えている刹那、牛島さんの手の中におさまるはずのボールは、今まで私たちの後ろにいたオレンジくんの手の中にあった

｢え…｣

この身長でこのジャンプ力
後ろにいたのに牛島さんより前に行ってボールをキャッチする素早さ

高く飛ぶ鳥を見た気がした

｢コンクリート出身日向翔陽です。あなたをブッ倒して全国へ行きます。｣

その瞬間、この場の空気がピリついた
いきなり醸し出た雰囲気に、思わず1歩下がってしまう

牛島さんになんて口聞くんだこの野郎！とかいつもなら突っかかってると思うけど、この3人の真剣な顔を見ていたらそんなこと思う気も薄らいだ

｢こらー他校生かなー？勝手に入っちゃダメだよー｣

あ、先生にばれた

『二人とも、怒られる前に早く学校から出た方が…』

｢ひかりさんの前でこんなこと言うのは失礼かもしれないですけど｣

いや私の名前知ってんのかい
関わりないから及川の妹で覚えられてるのかと思ったよ

｢及川さんが県内で最強のセッターなら、それを越えるの俺なんで｣

日向くんと影山くんは、燃え滾る闘争心で溢れていた
胸がドキリと音を立てた

｢…ヒナタショウヨウカゲヤマトビオ｣

そう呟いて不敵に笑っている牛島さんは、新しいおもちゃを見つけた子供のようにワクワクしているような気がした

『他校生いれたこと、先生にバレちゃいましたね』

｢ああ、怒られてしまうだろうか｣

良かった、少し天然な牛島さんに戻った

『勝手についてきたとでも言っておけば大丈夫ですよきっと。それより、もうすぐほかの皆さんも帰ってくると思いますよ。』

｢ああ｣

2人で体育館の中に入る
と同時に、さっきのことを考えていた

2人を見て思わずドキリとしてしまったのは、もし公式戦で戦ったらと考えてしまったからだ
何か天変地異を起こすのではないかという雰囲気が、彼らにはあった

でも私達はそんじゃそこらの学校になんて負けない

絶対的エースである牛島若利が率いる県内最強の白鳥沢学園なのだから