二人の探偵 第二幕 3 ページ7
そんな会話がなされていたころウィリアムは鉄道員に車両内の地図を見せてもらっていた。
どうやらこの列車は一等車が三両、二等車が五両そして先ほどまでいた食堂車に乗務員スペースがあるらしい。
事件があったのは1−Cの車両の二号室で、物音を聞いた貴婦人は三号室にいたそうだ。
一通りの話を聞き終わったウィリアムは礼を言って手を差し出す。
鉄道員は「い……いえそんなっ、貴族様に……光栄でございます」と言って握手をかわす。
「何か分かりましたか」
ルイスがそう言ってウィリアムに尋ねる。
その言葉にウィリアムは「あぁ」と一言、それに続けるように、こう言った。
シャーロックは“酒を勧める事の出来た人物”や“残された靴跡”などの細かい状況証拠から犯人を絞っていくだろうと。
「折角だから僕は違うやり方――犯罪者心理から犯人像をプロファイリングしてみようかな」
緋色の瞳がどことなく楽しそうに煌めく。
『それはまた――面白そうですね』
この空気感を最大限に楽しんでいそうなウィリアムにつられてAはふふっと笑みをこぼす。「とりあえず」とウィリアムは言葉を続け、
「ゆっくり話せる場所に移動しよう」
「……それなら、今一度食堂に戻るのはどうでしょうか」
『確かにそこならいいかもしれませんね。食後の紅茶もまだでしたし、飲みながらゆっくり考察でも……』
二人の言葉にウィリアムは微笑みを返し、「そうだね」と言ってきた道を折り返していく。
その後ろを一人の青年と少女が追いかけるのであった。
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とーてむぽーる(プロフ) - ぽんさん» 申し訳ありません、全く気付いておりませんでした。ご指摘ありがとうございます。本当にありがとうございます。 (2020年11月19日 0時) (レス) id: 69bf35d07a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とーてむぽーる | 作成日時:2020年10月22日 0時