【歌い手】期待して損した。

★ ページ43

『……うん、わかった。』




なんて言ってもいつかは飲んじゃうんだろうけど。


そんな気持ちを読みとったのか、まふくんが手を握る力を強くした。



まふ｢だめだよ、これ以上飲んじゃ。もっとAがボロボロになっちゃう。｣



でももしまたこんなことがあったら？

大切なものを壊されそうになったら？


私は何に頼ればいい？



まふ｢みんなを頼って？そのために一緒に暮らしてるんでしょ？
最初にみんなで決めたじゃん、なんでも頼るって。｣


『でもきっと迷惑かけちゃうから。』


まふ｢迷惑かけていいんだよ、友達って迷惑掛け合ってこその友達だよ。というか迷惑と思ってないし。｣



迷惑掛け合ってこその友達か……。



少し心が軽くなった気がする。



まふくんの言葉はいつも心に響く。



『ありがとうね、まふくん。』


まふ｢ううん、全然なんてことないよ！｣




薬のお陰かまふくんのお陰かわからないけど先程よりかはかなり落ち着いた。


若干頭がぐらつくけど多分大丈夫だろう。


勝手な行動をしてしまったから皆に謝らなければいけない。



『まふくん、私皆のところ行ってくるけど一緒に来る？』


まふ｢うん、僕も行く。｣



じゃあいこっか、という声と共にベッドから立ち上がる。


さっきの行動を皆がどんなふうに感じ取ったか不安だ。


だけど今は自分勝手に行動してしまったことを謝りたい。






長く感じる廊下を渡った後、震える手でドアを開けた。

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