【歌い手】期待して損した。

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まず私は部屋に引きこもった。

皆は気力もなくってしまったらしく、一言も発することがなければ、動くこともなかった。

メンタル面が崩壊しかけているのは目に見えていたが、私は誰にも何も言わずにリビングを出た。彼らに掛ける声が、見つからなかったんだ。もう、私は何も言えない。

そして、今回の事を解決させる糸口を探すべくTwitterでアカウントを漁りまくっていた。

今朝に炎上した『歌い手ハウスに入居する事になった』というツイートから探し出した有害垢のフォロー欄をひたすら見て行って、彼女のリア垢を発見したのだが、なんと彼女は馬鹿な事に制服を着たまま自撮りを上げていた。

確か今は高校生だったから、転校しない限り学校は変わっていないはず……



『……もしもし、遅くにすみません。○○高校の2学年に清水みなみさんっていますよね』



とりあえず、学校に通報した。これが一番手っ取り早いし、効果があると思ったのだ。

このまま退学になってしまえ、と念を込めながら事情を説明すればTwitterのアカウント名や今回の出来事の詳細などを細かに聞かれて20分近くも時間をとられてしまった。

アカウントの特定だなんて初めてやったためにかなり時間を使ってしまったけれども、まだ日が暮れて1時間程度しか経っていない。

時間は、ある。あとは声明文、考えなくちゃ。



『(あの薬飲んだせいかな……なんだろう、吐き気と不快感が凄い……)』



その感覚の気持ち悪さに思わず顔を伏せる。

内臓を掻き混ぜられたらこんな感覚に陥るのだろうか。何にも言い表せないほどの不快感に、変な汗ですら流れてきた。

ほんと、飲まなければよかった。

こんな薬、1年前にさっさとゴミ箱に入れて捨てるべきだったんだ。

……でも私は捨てきれなかった。今も昔も弱いままで、薬に助けてもらわないと精神ですら保っていられない。

私は弱虫だから。

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