61 ページ12
．
丸い瞳がゆっくり細められる。
「俺もそのつもりだった！」
優しい声。
まずは財布とり行っていい？と部室を指す岸くんに、笑って頷いた。
．
＿エントリーNo.5！二連冠と異例の殿堂入なるか、佐藤勝利ー！！
「お、間に合ったー」
まず最初に講堂に向かうと、丁度ミスコンミスターコンは始まったところだった。
つんとした表情の佐藤くんがスポットライトに照らされる。
「やっぱ佐藤くんが一番かっこいいね」
「まぁな。でも全員輝きが違うわ、俺と」
真剣な顔でステージを見る岸くんは、どう見てもかっこいい。とは言えるはずも無く。
純粋なかっこよさでいくと佐藤くんが一番だけど、きっとネタで入れられたであろう人たちもいてステージ上のトークは盛り上がっている。
乗り気じゃないのか照れているのか、佐藤くんはあまり喋らずときたま小さく笑って相づちを打つだけだ。
投票は既に終わっているのだけどまあお約束のアピールタイム(佐藤くんはギターをワンフレーズ弾いていた)の後、軽いトークと質問コーナーを終えての結果発表では結局佐藤くんが一位だった。票数は明かされてないけど多分圧倒的だろう。
二連続一位だと殿堂入らしい。ミスターのたすきをかけられた佐藤くんは照れたようにはにかんで、マイクに向かってお礼を言った。それだけで黄色い声が上がるからすごい。
岸くんはステージの上で輝く親友を眩しそうに見ながら、満足気に頷く。
「勝利はやっぱスターになる男だな」
「え、佐藤くんって何か目指してるの？」
「いや全然。適当だけど」
岸くんの漠然とした、でも確かに尊敬が滲んだ感想にくすりと笑いがこぼれた。
そのあとのミスコンでは岸くんの反応が気になってずっとちらちら横を見ていたけど、彼は真剣な顔で無言で見続けていた。「みんな綺麗だね」と話しかけると「おお」という肯定だけ返ってきたので、自分で話しかけておいてちょっとだけ凹んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 566人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽち(プロフ) - とても素敵でとっても好きです！いつか続きが読める日を楽しみにしています♡ (2023年4月11日 16時) (
レス) id: fb4236f219 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴ - ゆっくりでいいので、ぜひお話の続きぐ読みたいでひさ^_^ (2022年10月16日 23時) (レス) id: 3873617619 (このIDを非表示/違反報告)
ほるん(プロフ) - このお話の岸くんが大好きです！また続きが読める日を楽しみに待っています！ (2021年7月4日 19時) (レス) id: a9d3d404b9 (このIDを非表示/違反報告)
ほるん - 大好きなお話です！再会楽しみに待ってます(^^) (2020年9月23日 22時) (レス) id: a9d3d404b9 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 大好きなお話で、何回も読み返しています。頼さんの書かれる岸くんもジンもとても魅力的です！岸くんの気持ちが気になります♪いつもありがとうございます。更新楽しみにしております。 (2020年8月30日 22時) (レス) id: be10b265a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：頼 | 作成日時：2020年4月13日 23時
