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階段を下りて下駄箱の角を曲がると、靴を取り出している人影がいた。
人がいるなんて想定外で、ぐっと息を止めて溢れそうな涙をこらえる。
間違えてもクラスメイトには見られたくなかった。
「あれ、Aさん！」
靴を手に持った人影は私に気付いて数歩近付いて、そして息を飲んだ。
「どうしたの」
「……平野くん、は、」
「俺今日委員会で……って、そうじゃないでしょ」
困惑を隠そうとしない平野くんは無遠慮に私の顔を覗き込んで、どこか痛いのだの何か言われたのだの聞いてくる。
「私も、今日、委員会で……」
「何で委員会でそんな泣くの」
「……泣いて、ないよ」
問い詰められてるのかと錯覚するほど聞いてくる平野くんは、私が黙ると困ったようにん〜〜と唸りながら首の後ろをかき、
「取り合えず行こう」
私の手首を掴んだ。
平野くんに手を引かれるまま、靴を履いて昇降口、校門を抜けた。
どこまで行くんだろう、と思いながら大人しくついていった。
見られてしまったからにはきちんと口止めしないとだし、何より抵抗する元気がなかった。
平野くんの足がぴたりと止まったと思うと、公園の前のクレープのキッチンカーだった。
待ってて、と公園の入口のベンチに座らされ、横に自身の鞄も置いたと思うと平野くんはキッチンカーに行き、少し経ってクレープを持って戻ってきた。
「食べる？」
「……」
「っていうか食べてくんないと困るよ。Aさんに買ったのに」
そう言ってむっとするので頬の涙を拭ってからそれを受け取ると、平野くんは安心したように口もとをゆるめた。
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あー(プロフ) - 本当に面白い作品でした！幸せをありがとうございます！ (2020年5月11日 16時) (
レス) id: 027e812693 (このIDを非表示/違反報告)
kaede0318(プロフ) - とっても面白かったです！あと、借り物競走の時の紫耀くんのお題ってなんだったんでしょうか？？ (2020年4月22日 8時) (レス) id: 71eb8c3baa (このIDを非表示/違反報告)
キンプリ大好きちゃんのみー(プロフ) - sideとか誰が言ってるのか書いてあると読みやすいです(*^^*) (2020年3月19日 11時) (レス) id: f3c8e2ad49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：頼 | 作成日時：2019年10月21日 20時
